6月会合で2会合連続の利下げ、政策金利は5.25%に
(フィリピン)
マニラ発
2025年07月22日
フィリピン中央銀行(BSP)は6月19日に開催した金融政策定例会合で、政策金利(RRP)を25ベーシスポイント(bps=0.01%)引き下げ、5.25%にすると決定した。4月10日に行われた前回会合でも同じく0.25ポイントの利下げを決定しており、2会合連続の利下げとなった。2025年に入ってからは計0.50ポイント、2024年8月以降では5回にわたって合計1.25ポイントの引き下げを行っている(2025年5月1日記事参照)。翌日物預金金利と貸出金利はそれぞれ4.75%と5.75%に引き下げた。
今回の利下げは、フィリピン統計局(PSA)が6月5日に発表した5月の消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率)が前年同月比1.3%と、2019年11月以来の低水準となったことを受けて決定した。なお、7月4日発表の6月のインフレ率は前年同月比1.4%で、前月より若干上昇したものの、依然として低水準を維持している(添付資料図参照)。1月から6月までの平均インフレ率は1.8%で、政府の年間目標(注)の下限を引き続き下回っている。
現地報道によると、米国関税問題や中東情勢の激化を受け、BSPのエリ・レモロナ総裁は「世界経済の減速がフィリピンの経済成長の鈍化につながる可能性がある」と述べた。また、2025年に実施予定の会合のうち最終3回いずれかで、さらに25ベーシスポイントの利下げが行われる可能性を示唆しつつも、中東情勢を注意深く見る必要があると指摘した(6月20日付「ビジネス・ワールド」紙)。一方、フィリピン・アイランズ銀行(BPI)の主任エコノミストのジュン・ネリ氏は、中東情勢がさらに悪化した場合、米国の金融政策が引き締め方向に転じる可能性があるため、利下げのタイミングは遅れる可能性があると述べた。また、インフレリスクとなる賃金上昇の可能性や台風の時期なども注視すべきと指摘した(6月23日付「インクワイアラー」紙)。
(注)フィリピン政府は、2025年のインフレ率目標を2.0~4.0%と定めている。
(西岡絵里奈、アギラー・パールホープ)
(フィリピン)
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