水素モビリティーをテーマとする中小企業向け地域イベント開催
(ドイツ)
デュッセルドルフ発
2025年07月22日
ドイツの自動車産業関連のネットワーク組織cH2ance(注)は7月10日、「水素モビリティーをテーマとするイノベーションラウンド」と題するイベントをヘングスト
の協力の下、ミュンスターにある同社本社で開催した。
ヘングストは自動車産業を中心にビジネスを拡大してきたが、6年ほど前に「フィルターのスペシャリスト会社」になるという戦略にかじを切り、現在では自動車産業以外にも、さまざまな産業分野向けの各種フィルターを開発・製造している。同イベントに登壇したヘングストのアンドレアス・ドゥボログ博士は「脱炭素を進める上で、水素エネルギーや大気中の二酸化炭素(CO2)を直接回収するダイレクト・エア・キャプチャー(DAC)技術は非常に重要」と述べ、燃料電池やDACに関連するフィルタリング技術など、同社が水素・脱炭素社会に向け必要となるとみている複数の技術領域で、今後もパートナー企業と一緒に、技術開発を続けていくと説明した。
同イベントで基調講演を務めたエンジニア会社ボックマン・ハンニバルのウィルヘルム・ハンニバル博士は「変革が先に進むだろう商用車分野でも、燃料電池、内燃エンジンのどちらが今後普及していくかはまだ分からない。100%水素化処理植物油燃料(HVO100)など、合成燃料(e-fuel)の動向も注視していく必要がある」と、e-fuelの可能性についても言及した。
また、ザクセン州水素クラスターHZwo(在ケムニッツ)、ザクセン州自動車サプライヤー・ネットワークAMZ Sachsen
(在ドレスデン)、燃料電池技術センターZBT
(在デュイスブルグ)とともに、cH2anceの運営母体の1つとなっているノルトライン・ウェストファーレン(NRW)州自動車産業クラスターAutomotiveland.nrw
(在ゾーリンゲン)のハンノ・ラーデマッハ氏は「中小規模の自動車産業サプライヤーにとって、水素モビリティーに関する技術動向や情報、新たなネットワークは非常に重要」とし、cH2anceの枠組みで10月15日にデュイスブルグで開催予定の「Heavy Duty Congress
」のほか、各地で開催される小規模ワークショップへの参加を呼びかけた。
講演の様子(Simon Wierzba/Bergische Gesellschaft提供)
ネットワーキングの様子(Simon Wierzba/Bergische Gesellschaft提供)
(注)ドイツ自動車産業の変革に向けたドイツ政府の戦略の一環で、水素モビリティーへのトランスフォーメーション促進を目的に、自動車、サプライヤー産業を2022年から2025年にかけてサポートするために設立されたネットワーク組織。
(菅野一義)
(ドイツ)
ビジネス短信 eb56b7269c44176f