BISの強制認証対象品目は今後も広がる懸念、背景に対中貿易赤字の継続的拡大
(インド)
ベンガルール発
2025年07月23日
インド標準規格(Bureau of Indian Standards:BIS)の強制認証対象品目が近年、増加傾向にある。対象品目はアルミ・アルミ合金、ボルト・ナット・ネジ類、鉄鋼、鉄鋼製品、設備・電気機器などで、日系企業がインド国内で生産するために必要な原材料や部材、機器に広がっており、日系製造業の国内生産に大きな影響を及ぼしている。
背景には、内需の拡大に伴って国外からの調達が拡大しており、輸入依存度を引き下げるため、特にインドの最大の貿易赤字国・中国からの輸入を制限し、国内の製造業を振興させたいとの政府の狙いがある。
添付資料表1は、インドの対中国貿易額の推移で、2024年の対中貿易赤字は942億4,000万ドルに上る。2023年は前年比で赤字額が減少したが、2024年は再び増加に転じ、同年の赤字額は2020年(397億4,600万ドル)比で2.4倍に拡大している。
添付資料表2は、2024年のインドの対中貿易で赤字上位10品目を抽出したものだ。集積回路の赤字額が79億1,600万ドル、携帯電話など(主にスマートフォン)は同72億7,000万ドル、コンピュータ・周辺機器54億7,400万ドル、半導体デバイス40億7,700万ドル、蓄電池24億1,700万ドルなど、主にHSコード84類と85類の機械、電気機器関連の品目が上位を占めている。その他の中身も含めると、消費財から生産財、資本財、野菜や植物などに至るまで、幅広い品目で中国に巨額の貿易赤字を計上している状況がわかる。
なお、表には示していないが、2025年1~4月の直近の対中国貿易は、輸出52億2,500万ドル、輸入388億200万ドルで、赤字額は335億7,700万ドルに上る。前年同期比で26.1%拡大しており、中国に対する貿易赤字の解消には依然至っていない状態だ。
こうした背景からも、主に中国からの輸入制限を目的としたBISの強制認証対象の品目拡大は今後も続くことが懸念される。
(水谷俊博)
(インド)
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