インド、ICチップ搭載のe-パスポートを全国展開

(インド)

調査部アジア大洋州課

2025年07月14日

インド外務省(MEA)は1967年の旅券法制定を記念して、制定日にあたる6月24日にニューデリーで「第13回パスポート・セバ・ディーバ(Passport Seva Divas)」を開催した。式典に参加したスブラマンヤム・ジャイシャンカール外務相は、「パスポート・セバ・プログラム2.0(PSP)」の推進とインド全域で生体認証パスポート「e-パスポート」を導入すると明らかにした。同外相はスピーチの中で、インド国内のパスポート発行枚数が2014年の910万枚から2024年には1億4,600万枚にまで増加した要因について、「エム・パスポート・ポリスアプリ(m-Police app、注1)の導入や、郵便局パスポートサービスセンター(POPSK、注2)設立の影響が大きい」と述べている。

e-パスポートは、マイクロチップが埋め込まれた渡航文書で、所持者の個人情報(顔写真や指紋などの生体認証情報も含む)を安全に保管する。入国審査の際、審査官はパスポートを開いてバーコードをスキャンすることなく、チップを迅速に読み取ることができ、より安全かつ迅速な手続きが期待できる。加えて、重要な身元情報を暗号化することで、偽造パスポートの作成や不正利用の可能性が大幅に縮減され、インド旅行者のセキュリティーが強化されることになる。なお、e-パスポートは国際民間航空機関(ICAO)の基準に準拠しているため、世界中で利用可能となる。

e-パスポートは、通常のパスポートと同様に、政府公式の申請サイト(Passport Seva外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)にアクセスのうえ、氏名、生年月日、電話番号など個人情報を入力することで申請できる。これらの抜本的な改定は、インド国民がより安全かつ容易に旅行ができるようになるための重要な第一歩とされている。

(注1)MEAが2023年2月に導入したモバイルアプリで、パスポート発行プロセスにおける警察の身元確認を効率化することを目的に作成。このアプリによって、警察の身元確認プロセスが15日から5日に短縮された。

(注2)2017年1月に、インド郵政省(DoP)とMEAがより広範囲にパスポートサービスを提供することを目的に設立した郵便局。

(野本直希)

(インド)

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