山形で台湾の食品市場をテーマにセミナー開催

(日本、台湾)

山形発

2025年07月03日

ジェトロは6月24日、山形市で台湾の食品市場をテーマにセミナーを開催した。山形県は県産品の輸出拡大に向けて「酒類」を重点品目、「加工食品」を推進品目として位置付けており、特に台湾は県産飲食品の輸出が国・地域別で上位に位置していることから、台湾向けの輸出促進に力を入れている。こうした背景を踏まえ、ジェトロ山形は日本台湾交流協会と連携し、「日台パートナーシップ強化セミナー」の一環として本セミナーを実施した。

セミナーでは、台湾市場に精通したジェトロの海外コーディネーター(農林水産・食品分野)の福島義規氏と鈴木亜弥氏をオンラインで招き、台湾の食品市場の概況や、現地バイヤーとの商談における実務的なポイントについて講演が行われた。

はじめに、福島氏が、台湾の経済や市場概況、日本食が販売されている現地店舗の特徴、農林水産品や加工食品の輸入規制や検査制度、輸入税、酒類市場のトレンドについて解説した。講演では、台湾における農薬や添加物などの成分に関する輸入規制が年々厳格化しており、適切な対応が求められること、さらに輸入税や販売検査料が発生するため、一定規模の売り上げが見込める商品でなければ輸出の採算が合いにくいという点が強調された。

続いて、鈴木氏が、売れるパッケージのポイントや台湾市場で押さえておくべき視点について紹介した。台湾では健康志向が高まっており、ビーガンやベジタリアンの人口比率も高いことから、「無添加」「無農薬」「昆布出汁」などのキーワードが注目されていることや、「三節(春節・端午節・中秋節)」を中心とした贈答文化も根強く、ギフト用商品の需要が高いこともポイントとして挙げた。加えて、すでに日本食が広く浸透している台湾市場では、商品差別化の重要性が一層高まっており、現地の消費者に伝わる商品紹介やパッケージデザインが鍵を握ることが示された。

後半では、ジェトロから海外バイヤー専用のオンラインカタログサイト「Japan Street」の紹介があり、あわせて山形県と山形銀行から台湾市場への販路開拓に向けて実施を予定している商談会に関する説明が行われた。参加者からは、「両講演ともに実務に直結する有益な内容だった」「自社製品の展開方法について再検討したい」といった声が寄せられ、今後の台湾市場への販路拡大に向けた意欲が感じられた。

写真 セミナーの様子(ジェトロ撮影)

セミナーの様子(ジェトロ撮影)

(柴田桃佳)

(日本、台湾)

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