イタリア・トスカーナ州、大阪・関西万博で投資セミナー開催
(イタリア、日本)
調査部欧州課
2025年07月23日
イタリア中西部のトスカーナ州(州都:フィレンツェ)は7月14日、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のイタリアパビリオンで、「天才が生まれる場所、トスカーナへの投資機会」と題する投資セミナーを開催した。大阪商工会議所との共催により、イタリアへの投資やビジネス展開に関心をもつ日本企業やイタリア側関係者ら150人以上が参加した。
イタリアパビリオンのマリオ・バッターニ総代表の歓迎あいさつに続いて、同国の企業・メード・イン・イタリー省投資誘致ユニットのジョバンニ・サビーニ・ディレクターが録画ビデオでスピーチし、外国直接投資を一層促進するため、投資手続きの簡素化に取り組んでいることや、投資誘致だけでなく投資実行後のフォローやサポートにも注力し、投資企業に同国での事業が円滑に進むためのさまざまな協力や助言を提供していることを強調した。
ビデオスピーチする企業・メード・イン・イタリー省のジョバンニ・サビーニ氏(ジェトロ撮影)
トスカーナ州と、同州に進出した日系企業3社によるラウンドテーブルも行われ、同州の投資誘致・ビジネス開発担当のマルコ・ペローネ・エグゼクティブマネジャーが投資環境や強みなどについて説明を行った。同氏は、トスカーナはルネッサンス発祥の地であり、北欧と比しても劣らない研究開発力を有し、国際的に上位ランクのピサ大学やフィレンツェ大学、シエナ大学などを核とした産学官クラスター連携が活発な点をアピールした。また、特に競争力の高い産業セクターとして、ライフサイエンス、アグリビジネス(農業x情報通信のスマート農業を含む)などを挙げ、同州はロボット分野でイタリアのセンター・オブ・エクセレンス(注)だと述べた。
同州に進出した日系企業の事例として、次の3社がイタリア・トスカーナ州を投資先として選定した理由なども含めて紹介した。
(1)ヤンマーホールディングス:技術本部副本部長の大久保稔氏
- 2011年、欧州での最初の研究開発拠点(ヤンマーR&Dヨーロッパ)を開所
- 同州にはディーゼルエンジンの先端技術を有する大学や研究機関が多く、産学官連携クラスターが充実
(2)デルタテック(東レグループ):社長の首藤將之氏
- 2015年、東レは炭素繊維製品の中間基材のプリプレグメーカーのデルタテックを買収
- 東レの何事も極限を追求するスピリットとイタリア人の美意識、感性、職人気質がうまく融合し、買収後に売り上げは倍増
(3)トプコン:常務執行役員・アイケア事業本部長の瀧沢英之氏(ビデオ参加)
- 2021年、眼科・検眼用ハード、ソリューションのビジア・イメージングを買収
- 買収後、ビジア役職員の高いモチベーションによる相乗効果により、事業は好調に推移
ラウンドテーブルの右から、マルコ・ペローネ氏(トスカーナ州)、大久保稔氏(ヤンマー)、首藤將之氏(デルタテック)(ジェトロ撮影)
(注)組織横断的な取り組みを進めるために、優秀な人材やノウハウ、技術などを1つに集約して組織化することを指す。
(田中春彦)
(イタリア、日本)
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