2024/2025年度の穀物生産見通しが好調、専門家に聞く

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2025年07月28日

アルゼンチンのロサリオ穀物取引所(BCR)が5月16日に発表した週次レポートによると、2024/2025年度(注)の穀物の生産量見通しは1億3,570万トンで、2018/2019年度に次いで同国史上2番目の水準に達する。大豆と小麦の作付面積の拡大が主な要因だ。

大豆の作付面積は前年度比7.8%増の1,780万ヘクタールに達するが、猛暑の影響もあり、生産量は同2.9%減の4,850万トンを見込む。トウモロコシは気候だけでなく、害虫(フタテンチビヨコバイ)の被害を受け、作付面積は前年度比19.7%減の830万ヘクタール、生産量は同7.6%減の4,850万トン。小麦の作付面積は同25.2%増の690万ヘクタール、生産量は同38.6%増の2,010万トンで、2021/2022年度に次ぐ高い水準に達する(添付資料図1参照)。

これら主要穀物と比較すると小規模だが、ヒマワリの作付面積も前年度比18.2%増の220万ヘクタール、生産量は同24.8%増の470万トン。大麦の作付面積は同14.5%増の170万ヘクタールだが、降雨不足により、生産量は同3.9%減の490万トンが見込まれる。グレーンソルガムの作付面積は同25.5%増の100万ヘクタール、生産量は同27.1%増の320万トン(添付資料図2参照)。綿、カナリークサヨシ、米、オート麦、ベニバナ、ライ麦、菜種、亜麻、ピーナツ、キビ、デュラム小麦、豆類を含む「その他」の合計作付面積は前年度比1.8%増の460万ヘクタール、生産量は同9.4%増の580万トン。

ジェトロは7月3日、BCR情報・経済調査部の担当者に、農業分野から見た経済情勢や、ハビエル・ミレイ政権の農業政策への評価について聞いた。BCRによると、特に評価できる点は消費者物価指数上昇率の減速で、農業生産者は経済の安定によって、ようやく長期計画を組む余裕が出てきた。干ばつや洪水など自然災害の頻発化や、穀物の国際価格下落といった問題に直面する中、今後の課題としては、生産効率化、税金の引き下げだという。

政府は、輸出税引き下げへの取り組みを表明しており、BCRの立場からもその実現を期待しているという。また、農牧水産庁が輸出拡大に向けて新規市場開拓に積極的に取り組み、他国と植物検疫協定が締結されていることを評価しているという。最近では、中国へ初めて大豆粉の輸出が実現できたことがその一例だ。農業団体や農家は、いまだに撤廃されない輸出税に多少の不満はあるものの、全般的にはミレイ政権を支持しているという。

(注)年度は農作物ごとに期間が異なり、作物収穫開始から12カ月間を指す。例えば、大豆は4月~翌年3月、トウモロコシは3月~翌年2月などとされる。 

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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