米新学期商戦、セール期間利用した購入の前倒しがみられる、業界団体調査

(米国)

ニューヨーク発

2025年07月28日

全米小売業協会(NRF)は7月23日に開催した「2025年の新学期商戦の消費動向」と題した年次ウェビナーで、2025年の新学期商戦での総支出額は前年比2.2%増の1,282億ドルに達する見込み外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますだと発表した。関税に伴う物価上昇や景気の不透明感により、消費者はセールなどを利用して必需品を前倒しで購入する動きが見られる。

同ウェビナーに登壇したNRFの産業・消費者インサイト担当バイスプレジデントのキャスリーン・カレン氏は、消費者が経済的なストレスや不確実性にどう反応するかを示す1つの行動として、ホリデーシーズンや新学期など重要なイベントに合わせて、購入を前倒しする点を指摘した。同氏は、2025年は衣料品など必需品への支出は増加する見込みだが、関税の影響を受けやすい電子機器などの買い控え傾向が顕著になると予想する。

NRFが7月に実施した調査(注)によると、新学期用品を購入する家庭の半数(51%)は関税による価格上昇を懸念して、2024年よりも早めに買い物を開始している。新学期に向けて買い物をする人の67%は7月初旬時点で新学期用品を購入し始めている。2024年の55%を大きく上回っており、NRFが2018年に調査を開始して以来、過去最高の水準に達した。ただし、大多数(84%)は予定している購入品の半分以上をまだ購入しておらず、その理由として「最良の割引を待っている」(47%)、「予算を分散して使う計画」(24%)などを挙げ、消費者の間で節約志向の高まりが顕著になっている。

ウェビナーに登壇したNRFのチーフエコノミスト兼調査担当エグゼクティブディレクターのマーク・マシューズ氏は、多くの小売業者が2025年初に輸入を前倒ししたため、関税導入前の輸入品がまだ店舗に並べられており、関税による値上げが消費者に影響を及ぼすまで一定の時間がかかることを認識することが重要だと指摘した。物価上昇に伴って収入がやや厳しくなれば、消費者は貯蓄に頼る余裕がないため、問題に直面することになるとの懸念を示した。

(注)実施期間は7月1~7日、対象者は米国の消費者7,581人。

(樫葉さくら)

(米国)

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