インドネシアのプラボウォ大統領がロシアを訪問、23億ドル規模のファンド共同設立に合意
(インドネシア、ロシア)
ジャカルタ発
2025年07月02日
インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領は6月19日、ロシアのサンクトペテルブルクでウラジミール・プーチン大統領と会談した(2025年6月19日付、インドネシア大統領府)。プラボウォ氏がプーチン大統領と面会するのは2024年10月以来で、大統領としては初めてとなる。
プラボウォ大統領は、インドネシアのBRICS加盟に対するロシアの全面的な支援に感謝を表明したうえで、教育、貿易、投資、農業、輸送などの分野での協力拡大を呼びかけた。プーチン大統領は「インドネシアは東南アジアにおけるロシアの主要な貿易相手国の1つ」とし、両国間の貿易額が2024年に43億ドルに達し、2025年の4月までの貿易量は前年同期比40%増加していると述べた。
会談では、両首脳が「戦略的パートナーシップ宣言」に合意した。宣言の詳細な内容は公開されていないものの、インドネシア大統領府や報道によれば、経済分野では(1)インドネシア運輸省とロシア運輸省との間の運輸分野における協力、(2)インドネシア通信・デジタル省とロシアのデジタル開発・通信・マスメディア省とのデジタル開発・マスメディア分野での協力、(3)インドネシア政府系ファンド「ダヤ・アナガタ・ヌサンタラ投資管理会社(ダナンタラ)」とロシア直接投資ファンドによる22億9,000万ドル相当の投資ファンドの共同設立などが含まれる。また、会談後の記者会見においてプラボウォ大統領は、現在、週3便が就航するバリとモスクワ間の直行便が冬季は週4便に増便されると明かした(6月19日、プラボウォ大統領公式YouTube)。
EAEUとのFTA交渉も大筋合意へ
6月20日にサンクトペテルブルクで開催された「第28回サンクトペテルブルク国際経済フォーラム」に登壇したアイルランガ・ハルタルト経済担当調整相は、ロシアを含む5つの加盟国で構成されるユーラシア経済同盟(EAEU)との自由貿易協定(FTA)交渉について「首脳会談で実質的な完了が宣言された」と強調し、2025年内の署名を期待すると述べた。また、両国間の具体的な協力分野として、インドネシアの重要鉱物を活用した電気自動車(EV)用バッテリーの開発、インドネシア産のパーム油製品の高付加価値化支援、ロシア産小麦など農産物の輸入拡大、原子力技術の平和的な活用などに言及した(6月21日付、アンタラ)。
(大滝泰史)
(インドネシア、ロシア)
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