6月の物価上昇率は前月比1.6%、減速が続く
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2025年07月25日
アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は7月14日、6月の消費者物価指数(CPI)上昇率が全国平均で前月比1.6%だったと発表した。2カ月連続で2%台を下回った。前年同月比(年率)は39.4%で、14カ月連続で減速し、2021年1月以来の低い水準となった(添付資料図参照)。2025年1月から6月までの累計では15.1%上昇した。
6月の前月比上昇率を項目別にみると、季節によって価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスがマイナス0.2%で、2カ月連続でマイナスとなった。エネルギーや公共サービスなどの価格が規制されている財・サービスは2.2%で、前月の1.3%から加速した。季節変動要因のある品目を除いたコアインフレ率は1.7%で、2018年1月以来の低い水準となった。
前月比の上昇率を費目別にみると、平均値を上回ったのは、教育の3.7% 、住宅・光熱・その他燃料の3.4%、酒類・たばこの2.8%などだった(添付資料表1参照)。他方、平均値を下回ったのは、食品・飲料(酒類を除く)の0.6%と衣類・靴類の0.5%などだった(添付資料表1参照)。
ジェトロが独自に調査した首都ブエノスアイレスの7月22日時点の品目別の物価を見ても、食品の価格が安定しており、特に肉類では前月比で値下がりもみられた。公共交通機関の料金は値上げされたが、燃料は変動しなかった(添付資料表2参照)。7月14日付現地紙「ペルフィル」(電子版)は、為替レートが変動を始めた中でも物価の安定が維持されていることは、政府のインフレ抑制策の成果で、今後も物価上昇の減速傾向が続くとのエコノミストらの見方を伝えた。ただし、CPIの伸びは減速し続けているにもかかわらず、前年比では約40%と高水準にあり、これをさらに低下させるには、財政規律の維持や、厳格な金融政策、為替市場の変動の回避が重要だとも伝えている。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
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