インフレ鈍化で政策金利を4.75%に引き下げ
(チリ)
調査部米州課
2025年07月31日
チリ中央銀行は7月28日から29日にかけて金融政策決定会合を開催し、政策金利を25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)引き下げ4.75%とすることを全会一致で決定した。2024年12月に5.00%に引き下げて以来の変更となった(添付資料図1参照)。
チリではインフレの鈍化が顕著で(添付資料図2参照)、2025年7月の金融政策決定会合での政策金利引き下げがエコノミストの間でも事前に予測されていた。中銀はプレスリリースの中で、6月の消費者物価上昇率が前月比マイナス4.0%、前年同月比4.1%で、今後2年間のインフレ率の予測も3%になったことに触れた。これは中銀の目標(2~4%)範囲内の数値だ。チリ統計局(INE)は、消費者物価上昇率の下落の要因として、食品価格が低下傾向にあることと通貨ペソ上昇による輸入品価格の低下を挙げている。
経済活動については、5月の経済活動指数(IMACEC)が前月比ではマイナス0.2%だった。主に鉱業、サービス業、商業のマイナスによるとされている。
対外的な情勢については、貿易摩擦の進展と世界経済への影響、中東での軍事的緊張が依然として続いていることへの懸念を示した。米国の関税措置については、現在のところ米国経済に大きな悪影響を及ぼしているわけではないが、将来的な経済活動の鈍化を予測している。
中銀は今後も、マクロ経済シナリオの進展とインフレ動向が及ぼす影響を考慮しつつ、柔軟な金融政策を進めていくとしている。
(佐藤輝美)
(チリ)
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