インド進出時のポイント解説、大阪でインドビジネスセミナー開催
(日本、インド)
大阪本部海外ビジネス推進課
2025年07月24日
在大阪・神戸インド総領事館と森・濱田松本法律事務所、インドの法律事務所アビャクタ・ローは7月14日、「インド進出の要点セミナー」を大阪で開催(ジェトロ共催)した。
セミナー冒頭で、チャンドル・アッパル駐大阪・神戸インド総領事は「インド政府はより一層の経済発展に向けて、鉄道や港湾、空港といった輸送インフラのほか、ITなどの技術者育成のため、教育機関の拡充や、投資環境整備に注力している」と説明した。特に制度面では、物品・サービス税(GST)の統一や、破産・倒産法整備、法人税の引き下げのほか、会社登記のオンライン化や、許認可取得のワンストップ窓口開設などを行ったと述べた。
アッパル総領事のスピーチ(ジェトロ撮影)
森・濱田松本法律事務所の臼井慶宜弁護士はインドでビジネス運営する際のポイントを解説した。インドの法制度面で気を付けるべき点として、(1)連邦法と州法の2段階制で、労働法などは連邦と州のどちらも立法権を持ち、内容が異なることがあるため、現地の弁護士などを通じて最新情報を入手する必要がある、(2)日本のような土地の登記制度がなく、売買契約書や賃貸借契約書を登録する制度となっているため、土地所有権の確認が困難で、投資を行う際には、土地の権利に関するデューディリジェンスも重要だと述べた。
特に注意すべきポイントの1つとして、労務管理を挙げた。インド人労働者の一般的な特徴として、(1)自分の権利を守る意識が強い、(2)仲間意識が強い、(3)情報網が充実している、(4)会社への忠誠心は必ずしも高くない、(5)賃金や福利厚生への強いこだわりがあると述べ、1人の不平不満が伝わるスピードが速いため、早期にこれを摘み取ることが大切と語った。マネジメント面では、プライドを傷つけないような対応が必要で、公平でわかりやすい環境づくりが肝要とし、労使紛争が発生した場合には現場任せにせず、日本本社から現地に赴いたり、現地の弁護士を関与させたりして、双方の権利・立場を尊重した話し合いの場を持つことが大切と述べた。
講演する臼井弁護士(ジェトロ撮影)
このほか、アビャクタ・ローのシャミーク・チャウドゥリ弁護士がインドの司法制度や会社法の概要、外国企業が投資する際の手続き、進出形態の違いなどについて解説した。
(齋藤寛)
(日本、インド)
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