2025年上半期は乗用車の新規登録が前年同期比5.9%増、代替燃料車が内燃機関車を上回る
(オーストリア)
ウィーン発
2025年07月18日
オーストリア統計局は7月9日、2025年上半期(1〜6月)の乗用車新規登録統計を発表した(添付資料表参照)。この期間中、同国では前年同期比5.9%増(7,938台増)の14万3,051台が新たに登録された。特に電気自動車〔EV、バッテリー式電気自動車(BEV)〕やハイブリッド車などの代替燃料車の伸びが顕著で、全体の59.3%を占め、内燃機関車を大きく上回った。
ガソリン車とディーゼル車の登録台数はそれぞれ12.6%減、33.8%減と、いずれも減少し、シェアは合計で全体の40.6%にとどまった。一方、代替燃料車は前年比36.8%増の8万4,853台に達し、特にEV(42.2%増)とガソリンハイブリッド車(40.9%増)の増加が目立った。
メーカー別シェアでは、フォルクスワーゲン(VW、14.1%)、シュコダ(10.6%)、BMW(7.4%)が上位を占めた。EVに限ると、BMW(12.3%)が1位、VW(11.3%)が2位、長年トップだったテスラは10.8%で3位に後退した。シュコダ、ルノー、現代、フォードも、それぞれ2倍以上の伸びを記録した一方、テスラは23.5%減少した。
新規登録の64.2%は法人・企業・公共団体によるもので、特にEVでは70.4%が企業による登録だった。個人による登録は新規登録全体のうち35.8%にとどまるが、ガソリンハイブリッド車(72.5%増)とEV(70.2%増)は大きく伸びている。
「クリエ」紙(7月10日付)は、EV登録の増加要因として次のことを挙げている。
- 前年同期にEV登録が5%減少していた反動。
- 2025年3月に政府のEV購入支援金の終了が予定されていため、購入を前倒しする動きがあった。
- EVの新モデルが多数登場し、選択肢が増加。内燃機関車との価格差も縮小し、2万ユーロ以下のモデルも登場。
- 全国に計2万7,000基の充電設備が整備され、そのうち20%が急速充電器。
- EVの平均航続距離は2014年比で3倍に伸び、充電時間も短縮された。
しかし、好調な数字が示されている一方、オーストリア自動車業界の景況感は慎重なままだ。自動車輸入業者連盟(Arbeitskreis der Automobilimporteure)代表のクリスティアン・ペサウ氏は「クリエ」紙(7月10日付)の取材に対し、「自動車市場は今年上半期にわずかな成長を見せたが、依然として厳しい状況が続いている」と述べ、「2025年3月に終了したEV購入支援金制度が今後の市場動向にどのような影響を与えるかについては、現時点では不透明だ」と加えた。
(エッカート・デアシュミット)
(オーストリア)
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