コートジボワール、石油製品への税改定も、価格は据え置き

(コートジボワール)

アビジャン発

2025年07月09日

コートジボワール政府は6月18日、2018年から石油製品価格に組み込まれていた石油精製活動開発支援税(TSDAR:Taxe de Soutien au Développement de l’Activité de Raffinage)を6月末で廃止する政令を閣議決定した。TSDARは、コートジボワール石油精製会社(SIR/Société Ivoirienne de Raffinage)の債務返済を目的に導入したが、6月末までに債務を完済し、財務の健全性が回復する見込みから、今回の決定に至った。

TSDAR廃止に伴い、政府は7月1日から、同財源の約3分の2相当を既存の石油製品特定一括税(TSU:Taxe Spécifique Unique sur les produits pétroliers)に組み込むことを発表した。これにより、年間500億CFAフラン(約130億円、1CFAフラン=約0.26円)の資金調達が見込まれ、政府が主導する電力アクセス向上を目的とした「万人のための電力供給プログラム(PEPT)など、特に農村部と都市部の電力セクターのプロジェクト支援に充て、電力網の強化や公的サービスの効率性改善を目指す。

政府はさらに、2030年までに電力のユニバーサルアクセス実現を目標に、電力アクセスの改善に取り組んでいる。世界銀行によると、同国の2023年の電力アクセス率は72.4%で、サブサハラ・アフリカ地域の平均53.3%を大幅に上回っている。

今回の減税を反映するかたちで今後、石油製品価格が改定される可能性もあるが、6月30日発表の7月の燃料価格は1リットル当たり、ガソリン855CFAフラン、灯油730CFAフラン、軽油700CFAフランとなっており、前月から変更されていない。

同国の燃料価格は毎月、炭化水素自動価格決定メカニズムの規定に基づき、政府が決定するが、過去5年間で燃料価格が引き下げられたのは、2020年5月と2025年4月の2回のみだ。2025年4月の価格改定で、1リットル当たりガソリンが20CFAフラン、軽油と灯油がそれぞれ15CFAフラン引き下げられてから、現行価格が維持されている。

(渡辺久美子、橘欣子)

(コートジボワール)

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