プラボウォ大統領、ムハンマド皇太子兼首相と会談、270億ドル規模のMOU締結歓迎

(インドネシア、サウジアラビア)

ジャカルタ発

2025年07月09日

インドネシアのプラボウォ・スビアント大統領は7月2日、サウジアラビアのリヤドを国賓として訪問し、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子兼首相と会談した(7月3日インドネシア大統領府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。プラボウォ大統領がサウジアラビアを訪問するのは2024年10月の大統領就任以降初めて。

会談では、貿易や投資、エネルギー、雇用、インドネシアのハッジとウムラ(注1)の巡礼者向けサービスの向上を含む2国間のパートナーシップと協力強化に合意した(7月3日付インドネシア外務省プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

さらに、両首脳は両国間の戦略的利益を直接主導する枠組みとして「インドネシア・サウジアラビア最高調整会議」の設立を発表した。同会議で今後、貿易や投資、デジタル経済、食料安全保障、防衛・安全保障、航空分野の戦略的協力について、議論を進める方針を示した。

プラボウォ大統領はまた、2024年に開始したインドネシアと湾岸協力会議(GCC)との自由貿易協定(FTA)交渉(2024年8月15日記事参照)の進捗を評価した上で、「交渉の早期妥結を期待する」と強調した。

共同声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますでは、両首脳はクリーンエネルギーや石油化学、航空燃料などの分野で総額270億ドルに上る覚書(MOU)が締結されたことを歓迎した。MOUには、ダヤ・アナガタ・ヌサンタラ投資管理庁(ダナンタラ)とサウジアラビアのグリーン水素企業のACWAパワー社とのプロジェクト(総額100億ドル規模)や、インドネシアのエネルギー大手プルタミナとACWAパワー間における、累積500MW(メガワット)の再生可能エネルギーとガス発電の技術開発プロジェクトなど(注2)が含まれる(7月3日付アンタラ通信)。ダナンタラの最高経営責任者(CIO)のロサン・プルカサ・ルスラニ投資・下流化相はACWAパワーとの提携について、「太陽光、水素、水力などの大規模プロジェクトを加速するための資本と知識がもたらされる」と歓迎した。

(注1)ウムラ(小巡礼)とは、イスラム教の巡礼の一形態。ハッジ(大巡礼)は特定の時期に行われるのに対し、ウムラは年中いつでも行うことが可能とされる。

(注2)MOUには、航空機燃料サービス、サウジアラビアの建設プロジェクト、電動やハイブリッド型の垂直離着陸機の開発と組立工場、サウジアラビアでのデジタル技術センター開発に関する協力なども含まれる。

(大滝泰史)

(インドネシア、サウジアラビア)

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