上海市、奨励金付与などソフト・情報サービス業向け支援策発表

(中国)

上海発

2025年07月15日

中国の上海市は7月7日、「ソフトウエア・情報サービス業の質の高い発展を促進するための政策」を公布した。4分類・17項目から成る同政策を通じて、ソフトウエア・情報サービス企業を対象として、成長段階に応じた支援を軸に、業界の競争力強化を図るものとなっている。主な内容は次のとおり。

(1)企業の活力強化

  • 優位企業への奨励策として、年間売り上げ20億元(約412億円、1元=約20.6円)を超え、かつ成長率が上海市平均の1.2倍以上の企業に対する奨励金を区ごとに導入。
  • 中小企業への奨励策として、年間売り上げが初めて10億元、50億元、100億元、200億元を超えたそれぞれの企業に、最大500万元、1,000万元、2,000万元、3,000万元の奨励金を支給。
  • 零細企業への奨励策として、年間売り上げが初めて2,000万元を超え、かつ成長率が上海市平均を超えるものの、20%を超えない企業に、最大20万元の奨励金支給を行う措置などを展開する。

(2)人工知能(AI)の応用促進

  • 業界別のAIモデル発展を支援する。多分野のAIモデルの開発プロジェクトに、投資額の最大30%を補助。
  • 企業の知能化改造・デジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する。工業用ソフトウエア、セキュリティーソフトウエアのようなスマート化技術改善を促進するため、対象企業に、投資額の最大50%を補助。

(3)新しい成長分野の育成

  • デジタルコンテンツ産業の発展をサポートし、また、デジタルヒューマン、デジタルツイン、仮想現実(VR)などのコア技術の発展を促進。
  • 外資ゲーム企業が上海で研究開発をしたゲームを「国産ゲーム」とみなす試験的措置を導入。

(4)コスト削減

  • 企業の研究開発コスト、融資コスト、通信料金、人件費の削減を目指し、人材育成に注力。

同政策の有効期限は2028年6月30日までとなっている。上海市経済信息化委員会の7月7日発表によると、2025年1~5月の同市ソフト・情報サービス業の売上総額は前年比20.4%増の6,900億元と、成長率は全国平均(14.3%)を大きく上回っている(「中国城市網」7月7日)。この政策を基にさらなる産業集積の実現を目指している。

(龐婷婷)

(中国)

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