カンボジアへの米国相互関税は36%に引き下げ

(カンボジア、米国)

プノンペン発

2025年07月09日

米国のドナルド・トランプ大統領は7月7日、カンボジアに対する関税を当初発表の49%から36%へ引き下げると発表した(2025年7月8日記事参照)。これを受け、米国との関税交渉を担当するカンボジアのスン・チャントール副首相兼カンボジア開発評議会(CDC)第1副議長は8日に記者会見を開き、相互関税率の引き下げを歓迎するとともに、さらなる引き下げに向けて交渉を継続する意向を示した。36%の関税は8月1日から適用される予定だが、スン・チャントール氏は交渉継続に向け、8日朝に米国通商代表部(USTR)にメールを送信したと明らかにした。

カンボジア政府は4月2日、米国による相互関税発表を受けて即座に反応し、牛肉や豚肉など19品目の米国製品の輸入関税を35%から5%まで引き下げる提案を行った。4月30日には米国向け原産地証明書の発行手続きを厳格化すると発表し、迂回貿易による原産地偽装の取り締まり強化の姿勢を示した。これまで米国政府との交渉を3回実施(米首都ワシントンでの対面交渉を5月と6月に各1回、オンライン交渉を7月に1回)した結果、カンボジアは49%の高税率を回避したかたちだ。

ただし、基幹産業の縫製業の最大輸出先は米国で、36%の関税は依然としてカンボジア経済の懸念材料だ。カンボジア縫製・製靴・旅行用鞄協会(TAFTAC)は「36%の税率が適用されることは脅威だ。8月1日まで3週間、交渉のチャンスがある」とコメントした(「キリポスト」7月8日)。

(若林康平)

(カンボジア、米国)

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