カナダ人の米国への好感度が急速に低下し34%に、米シンクタンク調査
(カナダ、米国)
調査部米州課
2025年07月25日
米国のシンクタンク、ピュー・リサーチ・センターは7月24日、カナダ人の対米認識に関する調査結果(注1)を発表した。それによれば、カナダ人の米国への好感度は34%だった。2022年(バイデン政権時)の63%から急速に悪化し、2020年(35%、第1次トランプ政権時)とほぼ同じレベルに達した。一方、「好ましくない」とする割合は64%と2022年(34%)から上昇した。
ドナルド・トランプ大統領への見方は、77%が同氏を「信頼していない」と回答した。「信頼する」は22%にとどまった。74%はトランプ氏の世界経済の問題への対応が信頼できないとしている。
また、カナダ人の55%は米国を自国にとって最大の同盟国に挙げるが、同時に77%は米国が自国経済にとって最大の脅威と回答した。トランプ氏はカナダが「51番目の州」になると度々発言しており、53%は米国が国家安全保障にとって大きな脅威であるとしている。
カナダ人が米国に次いで脅威とみなす国は中国(17%)だった。中国の習近平国家主席へのカナダ人の信頼度は26%とトランプ氏(22%)を上回った。
ピュー・リサーチ・センターの国際意識調査担当副所長のローラ・シルバー氏は「習氏に対する評価の高まりと、トランプ氏に対する極めて劇的な否定的評価の両方を反映している」と述べた(カナディアン・プレス7月15日)。
米国を重視しない人が77%
調査会社イプソスが6月にカナダ人に対して実施した世論調査(注2)では、トランプ氏がもたらす脅威を踏まえ、「米国を重視しない」に同意すると77%が回答した。「カナダの政治的指導者はトランプ氏と交渉できる」に同意するが59%、「自身の財政的状況が悪影響を受ける」に同意するも59%だった。
そのほか、トランプ関税の悪影響から労働者を保護するための補助金制度の導入に59%が賛成している。また、米国への旅行を避けるが76%、米国製品の購入を避けるが72%と大多数だった。
(注1)実施時期は2025年2月19日~4月15日。対象者はカナダの成人1,024人。マーク・カーニー首相の就任(2025年3月10日記事参照)と、トランプ氏がカナダ、中国、メキシコに対する最初の関税を発表した(2025年2月3日記事参照)後に実施された。
(注2)実施時期は2025年6月17~20日。対象者はカナダの成人1,000人。
(松岡智恵子)
(カナダ、米国)
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