グループ・セブ、郵便局でフライパンと鍋の回収、リサイクル開始へ

(フランス)

パリ発

2025年07月09日

「ティファール」のブランド名でフライパンや鍋などの調理器具を製造しているグループ・セブはフランス郵政公社(ラ・ポスト・グループ)と提携し、2025年10月中旬から郵便局でフライパンと鍋の回収を開始する。グループ・セブが7月3日付のプレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)(フランス語)で発表した。

調理器具は拡大生産者責任の対象外のため、回収やリサイクルのルートはこれまでなかった。今回、フランス国内で初めてフライパンと鍋の一部について、クローズドループリサイクルのルートが構築される。

全てのブランドのアルミニウム製、スチール製、ステンレススチール製などのフライパンと、中華鍋や片手鍋が回収対象で、ふた付きの両手鍋や圧力鍋は対象外となる。回収した鍋は素材とコーティングごとに分離する。高温で溶解したアルミニウムは粉砕、精錬後、圧延用アルミインゴットにし、この再生アルミニウムを素材にフライパンを製造する。バージンアルミニウムで製造する場合と比較すると、二酸化炭素(CO2)排出量を90%削減できる。

同社は2012年以降、200万個以上のフライパンをリサイクルしており、945カ所の郵便局を含む1,700カ所の回収拠点を設置することで、2027年までに2,000万個のフライパンを回収することを目標に掲げている。郵便局以外に、グループ・セブのアウトレットストア「ホーム&クック」、カルフール、オーシャン、ルクレールなどの小売店にも回収場所を設置する。

有機フッ素化合物(PFAS、2025年3月6日記事参照)の一種だが、人体に無害とされているポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を使用したフッ素加工のフライパンや鍋を製造している同社は、このリサイクルにより、材料の再利用を可能にするだけでなく、汚染物質の安全な処理も保証する。ティファールの工場があるオーベルニュ・ローヌ・アルプ地域圏のルミリーはPFASによる水質汚染が問題となっていた。

グループ・セブ会長のティエリー・ドゥ・ラ・トゥール・ダルテーズ氏は「循環型経済を全ての人にとって身近なものにする」と同時に、「2024~2030年のESG(環境・社会・ガバナンス)戦略実施の重要なステップで、環境移行におけるフランスの産業主権を強化するための強いコミットメントだ」と述べた。グループ・セブは2030年までに製品と包装に再生材を60%以上使用することを目指している。

ラ・ポスト・グループの郵便・小包サービス部門担当の副最高経営責任者フィリップ・ドルジュ氏は「われわれの地域ネットワークを革新的な回収、リサイクルに活用することで、循環型経済とメード・イン・フランスの価値向上に貢献する」とした。

(奥山直子)

(フランス)

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