気候変動関連の英移行計画の策定、独自報告基準などサステナブルファイナンス関連の政策発表
(英国)
ロンドン発
2025年07月01日
英国のエド・ミリバンド・エネルギー安全保障・ネットゼロ相は6月25日、気候イノベーションフォーラムで、金融機関や大企業による気候変動関連の移行計画(2023年4月10日記事参照)の策定を支援する計画を発表した。フォーラムは6月21日から6月29日まで開催されたロンドン・クライメート・アクション・ウイーク(London Climate Action Week)の一環だ。
政府は、英国を世界のサステナブルファイナンスの中心地にするとし、クリーンエネルギー関連で数十億ポンド(1ポンド=約197円)規模の民間投資を動員することを目指すとした。その実現に向け、2024年に実施した移行ファイナンス市場レビューで示された提言に従い、移行計画要件について意見公募を行うとした。政府は、要件の設計では制度対応コストの削減を考慮したものにするとしている。
今回、政府は次の3つの意見公募を開始することを発表した。締め切りはいずれも9月17日となっている。
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英国サステナビリティー報告基準
(SRS):国際サステナビリティー審議会(ISSB)が定める国際基準に準拠した英国のSRSの草案を公表し、意見を募集する。
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サステナビリティー報告の保証
: サステナビリティー関連の開示に保証を提供する事業者に対する政策枠組み、特にそうした事業者の自主的登録制度の導入について意見を募集する。
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気候関連の移行計画要件
:英国の規制対象となっている金融機関、FTSE100(注)構成企業を対象に、設定と実施を求める移行計画に関し、計画の設計・開示・実行について意見を募集する。
また、英国政府は同日、ロンドンでネーチャーファイナンスに関するイベントを開催した。自然への民間資金の流れを拡大するため、外国政府や企業・金融機関などの関係者を招いて開催した。政府は英国規格協会(BSI)の「ネーチャー投資基準」(Nature Investment Standards)の設立を支援しているほか、自然回復を加速しつつ経済成長を支援する施策について意見公募を行っている。
(注)ロンドン証券取引所(LSE)に上場する企業のうち、時価総額上位100位の企業。
(バリオ純枝)
(英国)
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