ウガンダ政府、万博契機に「第1回ウガンダ・日本貿易投資フォーラム」を大阪で開催

(日本、ウガンダ)

大阪本部海外ビジネス推進課

2025年07月01日

ウガンダ政府は619日、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)を契機に、ウガンダと日本の貿易投資の促進を目的とした「第1回ウガンダ・日本貿易投資フォーラム」を大阪で開催した。同国のウィルソン・ムバス・ムバディ貿易・産業・協同組合相や、現地で活動を行う日系企業が登壇し、同国のビジネス環境や取り組みについて説明した。

ムバディ貿易・産業・協同組合相はあいさつで、ウガンダの投資環境の魅力について次の点を挙げた。

  • アフリカのほぼ中央に位置するウガンダの地理的優位性。
  • 東アフリカ共同体(EAC)、東南部アフリカ市場共同体(COMESA)、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)などを通じて、アフリカ域内市場へのアクセスが可能。
  • 30歳以下の若年人口が4分の3以上。
  • 5%を超える高い経済成長率。
  • 制限のない利益送金。
  • 簡素化された許認可取得手続き。
  • 優遇税制などの制度整備。

同大臣は、ウガンダには農産品・加工分野、鉱業、グリーンエネルギー、観光開発など未開発のビジネス機会が数多く存在しているとして、日本企業にはぜひ投資してほしいと呼びかけた。

加えて、ウガンダと日本の両国間貿易にも言及した。対日貿易赤字の是正が課題として、日本の標準規格への対応や流通・市場アクセスなどの面で品質向上や制度への対応に取り組んでいきたいと意欲を示した。

写真 スピーチするムバディ貿易・産業・協同組合相(ジェトロ撮影)

スピーチするムバディ貿易・産業・協同組合相(ジェトロ撮影)

消毒剤や洗浄剤、医薬品、食品を製造するサラヤの更家悠介代表取締役社長は、同社の事業概要とウガンダでの取り組みを紹介した。同社が2010年に初めてウガンダを訪問した際に、分娩(ぶんべん)に伴う感染症発症による乳児死亡率が高かった状態だった。これに対して、国連児童基金(ユニセフ)とともに、医療従事者をはじめ、子供、母親などに対して「100万人の手洗いプロジェクト」と題した取り組みを実施し、5歳児未満の死亡率が劇的に改善したという実績を紹介した。その後、学校や病院での手洗い促進運動を進め、それに伴ってアルコール消毒剤の現地製造を始めたという。ウガンダ国内のみならず、2019年にコンゴ民主共和国で緊急事態となった「エボラ出血熱」の流行に際しては、ウガンダ産の製品を提供した。新型コロナウイルス禍を機にウガンダ工場の製造ラインを自動化したこともあり、同国でナンバーワンブランドになったと語った。現在では、消毒剤以外にも、糖尿病患者向けのゼロカロリー人工甘味料の販売や、スナノミ(注)対策に向けたローション開発、マラリア対策として日系殺虫剤メーカーと協力した蚊取り線香の販売など、保健・公衆衛生上の課題に引き続き取り組んでいくと述べた。

このほか、バニラ・ココア、バナナ、生鮮野菜・果物、魚・同製品、花卉(かき)・切り花などの生産・加工・輸出事業者が自社の取り組みや製品を紹介したほか、大阪商工会議所とウガンダ・フリーゾーン輸出促進庁による協力覚書(MOC)の締結式も行われた。

写真 MOCの締結式(ジェトロ撮影)

MOCの締結式(ジェトロ撮影)

(注)スナノミとは「砂のノミ」の意味で、ノミの一種。アフリカや中南米、インドなどに生息。スナノミが足裏に寄生すると足裏の皮膚がただれ、重傷化すると歩けなくなる場合や死に至る場合もある。

(齋藤寛)

(日本、ウガンダ)

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