英政府、ファンド通じたCCSプロジェクトへの投資発表、日系企業も出資
(英国)
ロンドン発
2025年07月09日
英国政府は7月7日、ナショナル・ウエルス・ファンド(NWF、2024年7月18日記事参照)を通じて、イングランド北西部ピーク地方の二酸化炭素(CO2)回収・貯留(CCS)プロジェクト(ピーク・クラスター)のCO2輸送パイプライン開発に2,860万ポンド(約57億2,000万円、1ポンド=約200円)を出資することを発表した。NWFが企業とともに投資を行い、初期開発段階のリスク軽減や不可欠な資金を供給することで、さらなる開発・建設に必要となる民間投資の障壁を削減するとしている。
今回投資の対象となったプロジェクトは、ピーク地方に立地するセメントや石灰の事業者が排出するCO2を回収し、東アイリッシュ海に位置する枯渇した英国最大級のガス田に貯留するというものだ。ガス田は、英国エネルギー企業セントリカとドイツのミュンヘン現業公社(シュタットベルケ・ミュンヘン)の合弁会社スピリットエナジーが開発し、貯留層へと転換する。
日系企業では、住友商事の在英国子会社サミット・エナジー・エボリューションが英国の低炭素技術開発事業者プログレッシブ・エナジーとの合弁会社プログレッシブ・エナジー・ピークを通じ、パイプライン開発の特別目的会社に出資を発表している。ピーク・クラスターのセメント・石灰事業者〔ターマック(Tarmac)、ブリードン(Breedon)、シグマロック(SigmaRoc)、スイスのホルシム(Holcim)〕などとともに、パイプラインの開発に3,100万ポンドを投資する。パイプラインの開発は、2028年の最終投資決定(FID)、2031年の完成を予定している。
(バリオ純枝)
(英国)
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