チェコ北東部モラビア=シレジア州知事が大阪・関西万博を機に来日、大阪で投資セミナーを開催
(日本、チェコ)
大阪本部海外ビジネス推進課
2025年07月23日
チェコの北東部に位置するモラビア=シレジア州は7月16日、大阪・関西万博を機に、同州ミッション団を派遣し、チェコパビリオンにおいて同州の投資環境を説明するセミナーを開催した。同州のヨゼフ・ビェリツァ知事のほか、州投資開発庁、イノベーションセンター、チェコインベストの代表者などが登壇した。
ビェリツァ知事は冒頭のあいさつで、これまで同州の産業は鉄鋼業や石炭鉱業などが中心だったが、現在はデジタル分野をはじめとする新産業への転換を進めていると述べた。ポーランド、スロバキアなどの近隣国へのアクセスが良いのに加え、日本人のように勤勉な労働者が多く、同州は近年の高い経済成長に伴い、新規投資を求めており、ぜひ日本企業に進出してほしいと呼びかけた。
スピーチするビェリツァ知事(ジェトロ撮影)
続いて、モラビア=シレジア投資開発庁(MSID)のバーツラフ・パリツカ最高経営責任者(CEO)とモラビア=シレジア・イノベーションセンター(MSIC)のアデラ・フラディロワ最高経営責任者(CEO)の両氏が、同州の投資環境について説明を行い、同州が持つ強みとして次を挙げた。
- 欧州の中央部に位置し、道路や鉄道などの交通インフラが整備されており、短時間で近隣国と往来できること。
- 中心都市オストラバには5つの大学があり、技術系人材が豊富なこと。
- ポルシェやシーメンスなど研究開発拠点を構える企業が多く、また、量子コンピュータなど技術革新に必要な機器・施設の導入が進んでいること。
- 平均賃金がチェコ国内の他地域と比べて安価であり、失業率は6%と他地域に比べ比較的高いため、優秀な人材が容易に獲得できること。
その上で、電子・電気機器、医療機器など先端産業の誘致を進めていきたい、と語った。
一方、ジェトロ大阪本部の庄秀輝本部長は、日本企業の対チェコビジネスについて説明した。現在、チェコには製造業を中心に265社の日本企業が進出しており、同州には自転車部品のシマノなど5社が拠点を設けていると述べた。また、チェコにおけるイノベーションハブは同州を含めた東部地域に集積しており、特に2022年に設立された水素クラスターでは、同国初の乗用車向け水素給油ステーションの設置や燃料電池トラック開発などのプロジェクトが実現していると付言した。
最後に、チェコインベスト長官顧問の中越誠治氏が、日系企業から見た進出の際のポイントについて言及した。日系企業のチェコ進出については、旭硝子(現AGC)が1990年に拠点を設立したことを皮切りとし、2010年代には自動車産業で一気に加速。新型コロナ禍を経て、新規進出は一服感があるが、他方、これまで撤退した日系企業は2社しかなく、裾野産業が充実していることから、製造業が安定して操業できる環境であると強調した。住生活面でも身の危険を感じることはなく安全で、四季があり、様々なスポーツや食事を楽しむことができ、子女教育に関しても日本人学校だけでなく、インターナショナルスクールも充実していると述べた。
セミナー後のネットワーキング交流会の様子(ジェトロ撮影)
(齋藤寛)
(日本、チェコ)
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