米農務省、国家農地安全保障行動計画を発表、農業分野の外国投資や輸入を懸念

(米国、北朝鮮、中国、ロシア、イラン)

ニューヨーク発

2025年07月10日

米国農務省は7月8日、米国の農地への外国投資に関して、同省が対米外国投資委員会(CFIUS)の審査に関与することなどを盛り込んだ「国家農地安全保障行動計画」を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。

同行動計画では、米国の食料の国内生産や安定供給を確保する農地安全保障が国家安全保障上重要だとして、懸念国(注)の外国人などが所有する米国の農地を「国家安全保障と将来の経済的繁栄に対する潜在的な脅威」と位置づけた。この脅威への対処に向け、農務省はCFIUS議長を務める財務省と覚書を締結し、農地、農業ビジネス、農業バイオテクノロジー、農業関連産業に関連する取引に対するCFIUSの審査で連携する。また、農務省が国務省や連邦議会と協力し、懸念国の外国人による米国の農地の直接的・間接的な購入や管理を阻止するため、迅速な立法措置、または行政措置を講じるなどとも記した。

CFIUSは、外国の投資が米国の国家安全保障に脅威を及ぼすかどうかを審査・調査する省庁横断の委員会で、財務長官が議長を務め、司法省、国土安全保障省、商務省、国防総省、国務省、エネルギー省(DOE)、米国通商代表部(USTR)、科学技術政策局(OSTP)のトップが参加する。また、予算管理局(OMB)や経済諮問委員会(CEA)、国家安全保障会議(NSC)、国家経済会議(NEC)、国土安全保障会議(HSC)も状況に応じて参加する。

このほか、同行動計画では、米国の農業資材の生産や米国産農産品の輸送が懸念国などで生産される部品に依存していると問題視した。また、サプライチェーンの脆弱(ぜいじゃく)性を評価するため、農務省が主要な農業資材や原材料のリストを作成することも示した。農業生産に不可欠な原材料には、肥料、化学物質、鉱物、ビタミンを挙げるとともに、軍事防衛システムに必要なものとして、ニトロセルロース、天然ゴムを例示した。

(注)合衆国法典第10編第4872条(d)で指定する、北朝鮮、中国、ロシア、イランの4カ国、また、米国の国家安全保障、または外交政策に有害な行為に従事していると国務長官が判断した国。

(葛西泰介)

(米国、北朝鮮、中国、ロシア、イラン)

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