第2四半期のGDP成長率、前年同期比7.96%、前期から加速

(ベトナム)

ハノイ発

2025年07月10日

ベトナム統計局は7月5日、2025年第2四半期(4~6月)の実質GDP成長率(推計値)を前年同期比7.96%と発表した。前四半期(1~3月、改定値)の7.05%から伸び率が加速した(添付資料表参照)。

産業別の成長率では、農林水産業3.89%、鉱工業・建設業8.97%、サービス業8.46%だった。

農林水産業は、収穫高・生産量が増加した農業を中心に、安定した成長を維持した。

鉱工業・建設業のうち、製造業の成長率は10.75%だった。第2四半期の輸出額は前年同期比18.0%増で大きく伸びたが、米国の調査会社S&Pグローバルによると、ベトナムの製造業購買担当者景気指数(PMI、注)は4月以降、3カ月連続で景況感の改善・悪化の境目となる50を下回った。同社のレポートでは、米国の関税政策が主な原因となり、新規輸出の受注は、新型コロナウイルス流行が影響した2021年9月や、インフレなどで外需が低迷した2023年5月と同程度の落ち込みが見られたと指摘した。米国による相互関税導入の停止期間中に出荷は増加したものの、下半期は生産や輸出が減速する可能性もある。

サービス業では、業務サービスの成長率が16.39%と最も高く、教育、ホテル・飲食、文化・レジャーなどが10%を上回った。

今後については、特に製造業で先行きの不透明感が漂うが、7月2日に発表されたベトナムと米国の貿易協定合意の影響を注視する必要がある(2025年7月3日記事参照)。統計局のレ・チュン・ヒエウ副局長は、ベトナムの対米輸出品に20%の関税が課せられた場合、GDP成長率は0.7~0.8ポイント低下するとの予測を示した(「投資家」誌7月5日)。ただし、この予測は米国と他国間の関税率や、米国以外の輸出市場での貿易条件の変化を考慮していないため、今後の米国と各国の交渉結果やベトナムの輸出促進の取り組みなどに応じて、影響の度合いは変わる可能性がある。

ロイターによると、外資系投資ファンド・ドラゴン・キャピタル創業者のドミニク・スクリブン氏は「GDPへの影響は懸念されるほど深刻ではなく、リスクが緩和されたことで、今後は国内および民間部門の経済に再び注目が集まる可能性がある」と述べた(ロイター通信7月5日)。

(注)製造業の購買責任者を対象に、生産高や新規受注、在庫水準、雇用状況、価格などの状況を評価する指数。0から100の間で変動し、50を超えると「前月比で改善や増加」、50未満は「前月比で悪化や減少」を表す。

(萩原遼太朗)

(ベトナム)

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