米国の第1四半期貿易収支、関税賦課前の駆け込みで輸入額・赤字額は過去最大
(米国)
ニューヨーク発
2025年07月08日
米国商務省が6月24日に発表した2025年第1四半期(1~3月)の貿易統計(国際収支ベース、季節調整済み)によると、輸出(財・サービス)は前期比2.0%増の8,322億ドル、輸入は14.7%増の1兆2,228億ドルとなった(添付資料表1、図1参照)。輸入の伸びが輸出の伸びを上回ったことから赤字額は1,397億ドル増加し3,906億ドルとなった。トランプ政権による追加関税賦課(注)を前に輸入が大幅に増加し、輸入額、赤字額ともにデータが確認できる1960年以降の最大となった。財、サービスの内訳では、財が4,660億ドルの赤字、サービスが754億ドルの黒字だった。
財貿易をみると、輸出が前期比4.1%増の5,390億ドル、輸入が18.7%増の1兆50億ドルとなった(添付資料表2参照)。輸出では、資本財の民間航空機やコンピュータ周辺機器、工業用原材料のエネルギー製品が伸びた。輸入では、消費財の医薬品や、資本財のコンピュータ、工業用原材料の鉄・非鉄製品などが押し上げ要因となった。
財貿易を主要国・地域別に寄与度順にみると、輸出では、メキシコが前期比4.5%増の864億ドルとなり、最大の押し上げ要因になった(添付資料表3参照)。コンピュータ周辺機器(HSコード8473)、石油ガスおよびその他のガス状炭化水素(2711)、民間航空機および部品(8800)が増加した。次いで、EUが3.2%増の968億ドルとなった。石油ガスおよびその他のガス状炭化水素、医薬品(ワクチンなどを除く)(3004)、血液・ワクチンなど(3002)が増加した。さらに、カナダが3.4%増の910億ドルと続いた。乗用自動車(8703)、石油ガスおよびその他のガス状炭化水素、収穫機および脱穀機(8433)などが増加した。
また、輸入を寄与度順にみると、EUが31.3%増の2,006億ドルと全体を押し上げた。特にホルモンなど(2937)、血液・ワクチン(3002)など、貴金属製品(7115)が増加した。次いで、台湾が26.7%増の375億ドルと伸びた。コンピュータ周辺機器、コンピュータ(8471)、印刷回路(8534)が増加した。また、カナダが7.2%増の1,147億ドルと伸びに寄与し、石油ガスおよびその他のガス状炭化水素、金(7108)、乗用自動車が増加した。メキシコが4.9%増の1,370億ドルと伸びた。コンピュータ、果物(0810)、コンピュータ周辺機器が増加した。そして、ベトナムが17.2%増の426億ドルと続いた。コンピュータ、電話機(携帯電話を含む)(8517)、コンピュータ周辺機器が増加した。
対中貿易は、輸出が減少し、輸入が伸びたことから、貿易赤字は802億ドルに増加した。大豆(1201)や種子類(0802)の輸出が減少し、エアポンプ(8414)、医薬品(ワクチンなどを除く)、履物(6402)などの輸入が伸びた。対日貿易は、輸入の伸びが輸出の伸びを上回り、赤字額は11億ドル増加した。貴金属製品や医薬品(ワクチンなどを除く)、金の輸入が増加した。
(注)1962年通商拡大法232条に基づく鉄鋼・アルミニウムに対する追加関税は3月12日、自動車・同部品に対する追加関税はそれぞれ4月3日と5月3日、国際緊急経済権限法(IEEPA)に基づくベースライン関税は4月5日に発動した。
(大原典子)
(米国)
ビジネス短信 93030945fb17b27b