サウジアラビア資本市場庁、預託証券制度の導入を発表
(サウジアラビア)
リヤド発
2025年07月16日
サウジアラビア資本市場庁(CMA)理事会は7月7日、外国で発行され当該国の資本市場に上場されている株式を表す「サウジアラビア預託証券」を資本市場で募集するための規制枠組みを承認した。
今回の枠組みでは、外国市場で上場された株式の資本市場における預託証券(注)の発行を規制し、新たな証券を導入することを目的としている。これにより、次のような影響が期待される。
- サウジアラビア資本市場の深化と資本形成機能の強化
- 上場オプションの多様化
- 投資商品の選択肢拡大による同市場の魅力向上
CMAは、外国企業が必要な承認を得た上で、外国市場に上場されている株式をサウジアラビアの資本市場に登録し、預託証券を提供することを認める。預託証券の登録および募集の要件は、有価証券の募集および継続的義務に関する規則の下で、現在実施されている「株式の登録・募集に関する規則」と同様の規則が適用される。また、サウジアラビアの預託証券の発行者は、一定の例外を除き、上場規則に基づき市場に株式を上場する外国企業に適用される継続義務と同じ義務を負うことになる。
CMAは2020年、国内資本市場に上場している企業に、サウジアラビアの資本市場で取引される株式と引き換えに、同国外で預託証券を発行することを認可した。今回の枠組みは、その流れを反転させ、外国企業がサウジアラビア市場で預託証券を発行することを可能とした。
(注)ある国の発行会社の株式を海外でも流通させるために、その会社の株式を銀行などに預託し、その代替として海外で発行される証券のことを指す。預託証券は、株式と同様に発行された国の取引所などに上場され、取引される。国によって規則や制度が異なるため、直接証券の受け渡しが難しい海外の企業でも預託証券を通して国外で資金調達が可能となる。
(林憲忠)
(サウジアラビア)
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