G20財務相会議、共同声明を発出して閉幕

(南アフリカ共和国、世界)

ヨハネスブルク発

2025年07月23日

南アフリカ共和国のダーバン郊外で7月17~18日に開かれたG20財務相・中央銀行総裁会議は共同声明を採択して閉幕した。財務相会合として共同声明を採択したのは2024年10月のワシントン会議以来3会合ぶりで、南アが議長国を務めてからは、初めて共同声明を発出した会議となった。

共同声明は冒頭で世界経済について、不確実性の高まりと、進行中の戦争と紛争、地政学と貿易の緊張、グローバルなサプライチェーンの混乱、高い債務水準、頻繁な異常気象現象と自然災害など、複雑な課題に直面していると指摘した。また、これらの課題は経済成長や金融と物価の安定に影響を与えるとした。その上で、「既存のリスクと新たなリスクに対処するための多国間協力強化の重要性を強調する」と言及した。中央銀行についても、「物価安定の確保に強くコミットし、引き続きデータを踏まえながら政策を調整していく。中央銀行の独立性はこの目標を達成するために極めて重要だ」とした。米国のドナルド・トランプ政権の登場によってG20など多国間協力の枠組みに懸念が広がる中、表現や言葉遣いには留意しながらも、何とか共同声明の発出にこぎつけたかたちだ。7月21日付の当地経済紙「ビジネス・デー」は、困難な中でも多国間協力の重要性や、中央銀行の独立性に触れた共同声明を出せたことは、南アやG20にとっての前進とする社説を掲載した。

G20議長国・南アのエノック・ゴドングワナ財務相は「(G20が)対話を促進し、ルールに基づく協力を強め、どの国も単独で解決できないグローバルな課題に協力して取り組む重要な役割を担っている」と強調した。

奇しくも7月18日は、ネルソン・マンデラ元南ア大統領の誕生日を記念して国連が制定した「ネルソン・マンデラ国際デー」だった。ある南ア政府関係者は「マンデラ氏が唱えた融和、対話、協力の精神が力を与え、この共同声明発出につながった(に違いない)」と筆者に語った。

次回のG20財務相会合は、10月に米首都ワシントンで開催されるIMF・世界銀行年次総会に合わせて開催される予定だ。11月にヨハネスブルグで開催されるG20首脳会合を前に、南アが議長国を務める4回目で最後の財務相会合となる。

(的場真太郎)

(南アフリカ共和国、世界)

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