6月の貿易赤字は187億7,000万ドルに縮小、輸出横ばい・輸入減少続く

(インド)

ムンバイ発

2025年07月22日

インド商工省(MoCI)が7月15日に発表した「貿易統計(速報値)」PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)によると、6月の貿易収支(サービスを除く)は約187億7,000万ドルの赤字だった(添付資料図参照)。原油や金などの輸入減少に伴い、貿易赤字は約218億8,000万ドルだった5月から縮小した。輸出額は351億4,430万ドルで前年同月比ほぼ横ばい、輸入額は539億1,680万ドルで3.7%減少した。

輸出額の内訳を見ると、金額の大きいエンジニアリング製品95億454万ドル(前年同月比1.4%増)、電子製品41億4,679万ドル(46.9%増)、医薬品26億1,567万ドル(6.0%増)などが増加した。一方で、石油製品46億1,575万ドル(15.9%減)、宝石類17億8,797万ドル(20.4%減)などは減少した。

輸入に関しては、電子製品84億2,032万ドル(前年同月比9.5%増)、電気・一般機械44億2,979万ドル(8.5%増)などが増加した。輸入額全体の約4分の1を占める石油製品・原油が137億9,858万ドルで8.4%減少したほか、石炭・コークスなど23億8,084万ドル(19.1%減)、有機・無機化学製品22億5,613万ドル(8.9%減)、非鉄金属21億2,399万ドル(8.0%減)、輸送機器20億727万ドル(20.5%減)、金18億3,908万ドル(25.7%減)などは減少した。

現地報道によると、インド輸出業者連盟(FIEO)会長のS.C.ラルハン氏は「不安定な世界貿易環境下でも、輸出業者は期待以上の成果を上げており、臨機応変に対応している」と述べた。また、輸入額の大幅な減少について「国内製造力の強化や、アトマニルバル・バーラト政策(注)に基づく輸入代替の取り組みと、国内での製造を強化した成果が表れた可能性も考えられる」と言及した。さらに、MoCI傘下の機械輸出促進機構(EEPC)会長のパンカジ・チャダ氏は「西アジア、中東、欧州での地政学的緊張が依然として供給網に混乱をもたらしており、世界貿易に影を落としている」と指摘した上で、「今後、米国とインド間の2国間貿易協定が進展すれば、エンジニアリング製品の輸出がさらに加速するだろう」と期待を示した(「デカン・ヘラルド」紙7月15日)。

(注)アトマニルバル・バーラト(Atmanirbhar Bharat)政策は、インド政府が2020年に掲げた「自立したインド」を目指す産業・経済振興戦略で、輸入依存の低減や国内製造業の強化を主眼とする。

(篠田正大)

(インド)

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