缶詰のデルモンテ、米連邦破産法第11章を申請
(米国)
サンフランシスコ発
2025年07月07日
米国の果物や野菜缶詰メーカー大手のデルモンテ・フーズ(本社:カリフォルニア州ウォルナットクリーク)は7月1日、米連邦破産法第11章(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したと発表した。同社は、通常どおりの営業を継続しながら、保有するブランドの売却先を探す予定で、そのための資金も確保している。
1886年創業のデルモンテ・フーズは、ベイエリア(サンフランシスコ湾岸)発祥の食品メーカーで、1971年には米国の食品メーカーとして初めて栄養成分表示を導入するなど、有名なブランドの1つだ。裁判所への申請資料によると、新型コロナウイルス禍において、自宅で食事をとる人が増えた影響により需要が急増したため、生産量を増やしたものの、収束とともに需要が減退し、過剰在庫を保管・処分するコストがかさんだことに加え、需要減による生産量の減少により製品1つあたりのコストが上昇し、経営を圧迫した。また、2014年にフィリピンのデルモンテ・パシフィック(DMPL)が米国のファンド会社コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)から同社を買収した際、買収資金を調達するために同社が多額の債務を負担し、その支払い利息の負担が増加したことも要因として挙げられている。加えて、米国の消費者ニーズの変化も指摘されている。健康志向の高まりにより、より新鮮で保存料の少ない商品を求める傾向が強まっているほか、食品価格の上昇により、消費者はより安価なプライベートブランド商品に流れており、ナショナルブランドは苦戦を強いられている。
同社のグレッグ・ロングストリート最高経営責任者(CEO)は「あらゆる選択肢を徹底的に検討した結果、裁判所監督下の売却プロセスが、当社の再建を加速し、より強固で持続可能なデルモンテ・フーズを築く最も効果的な方法であると判断した」と述べた。
(芦崎暢)
(米国)
ビジネス短信 7f73099294c9d99b