和歌山発ベンチャーのglafit、バングラデシュで電動モビリティ市場創出へ

(バングラデシュ、日本)

ダッカ発

2025年07月23日

電動モビリティベンチャーのglafit(本社:和歌山県和歌山市)は7月14日、バングラデシュ・ダッカ市内のホテルで、子会社の設立セレモニーを開催した。セレモニーには同社幹部のほか、現地関係企業やバングラデシュ投資開発庁(BIDA)の職員および家族らも出席した。

glafitは2017年の設立以来、電動パーソナルモビリティの開発・製造・販売を行っており、日本国内では、法改正を含む制度設計を目的に業界団体も立ち上げている。2025年5月30日には、ジェトロと国際協力機構(JICA)が共催した「バングラデシュビジネスセミナー」の場で、バングラデシュ暫定政権のムハンマド・ユヌス首席顧問ら立ち会いの下、武蔵精密工業とバングラデシュにおける二輪電気自動車(EV)の普及に向けた協業について覚書を締結した。

今回進出を決めた理由について同社は、バングラデシュが抱える大気汚染や気候変動といった社会課題に対し、これまで培った電動モビリティ関連の知見を生かせると考えたためという。スイス企業のアイキューエア(IQAir)が発表した2024年版世界大気質報告書によると、バングラデシュは世界で2番目に大気汚染の深刻な国とされており、改善が急務となっている。glafitは、日本で培ったアプリケーションとバッテリーマネジメントシステムなどの通信データを基に、電動バイクのバッテリー交換システムを構築し、協業する武蔵精密工業のハードウエア技術・国際的ネットワークを組み合わせて、バングラデシュで二輪EVの本格的な社会実装を目指す構えだ。

代表取締役CEO(最高経営責任者)の鳴海禎造氏はジェトロの取材に対し、「このチャレンジを機に、バングラデシュのモビリティ電動化の象徴といえば『glafit』と言ってもらえるよう、現地で生産・販売しながら、日本も含めた海外への輸出を視野に成長していきたい」と述べた。同社のバッテリー・アズ・ア・サービス(BaaS)の先駆者としての挑戦に注目が集まる。

写真 鳴海禎造代表取締役CEO(右から3人目)など子会社設立を祝うセレモニーでの集合写真(glafit提供)

鳴海禎造代表取締役CEO(右から3人目)など子会社設立を祝うセレモニーでの集合写真(glafit提供)

(片岡一生)

(バングラデシュ、日本)

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