中国政府、新エネルギー車の安全性重視、新たな基準公示
(中国)
成都発
2025年07月09日
中国工業情報化部は6月19日、国家市場監督管理総局品質発展局、国家消防救援局消防監督司とオンライン会議を開き、2025年度の新エネルギー車の安全管理強化について議論した。この会議では、自動車メーカーとバッテリーメーカーに対し、(1)製品設計、検査、製造、アフターサービスなどの分野のリスク防止、(2)誇大広告と虚偽の宣伝を行わないこと、(3)「内巻式」競争(注)を行わないこと、(4)製品性能や品質を犠牲にしてコスト削減や効率向上を図らないことなどを求めた。
2025年に入り、中国政府は新エネルギー車の品質と安全性の確保に積極的に取り組んでいる。国家標準化管理委員会、国家市場監督管理総局は3月28日、工業情報化部が策定した「電気自動車用動力蓄電池安全要求」(GB38031-2025)を公示した。この安全要求は、同部が2020年に策定したものに、電気自動車(EV)用バッテリーの火災に関する基準の見直しを行っており、2026年7月から施行される。現在のものは発火や爆発が起きる5分前までに警報信号を発信することが基準となっているが、新たな安全要求では、EVのバッテリーに対し、爆発や火災が起きないようにすることや、内部から加熱する安全性試験法の実施など厳格な基準を設けた。
こうした状況下で、中国自動車メーカー各社は車体とバッテリーの安全性の向上へ準備を進めている。現地メディアの報道によると、重慶市に本社を置く中国大手自動車の長安汽車は、新エネ車三電(バッテリー、モーター、電子制御)システムの研究開発を加速し、2027年には全固体電池の量産を開始することを明らかにした(「澎湃新聞」5月22日)。賽力斯集団(セレス)の張興海董事長も6月6日、重慶市で開催された「2025中国汽車重慶論壇」で「安全は最大の豪華さ(ぜいたく)」とし、電動化、知能化は自動車産業の構造を大きく変えたものの、車の安全性は依然として永遠のテーマと指摘した。その上で、「セレスは『安全なくしてスマート化なし、安全なくして電動化なし、安全なくして豪華さなし』を堅持し、車の安全性確保に優先的に取り組んでいる」と強調した。
(注)内巻とは、過度な内部競争や業界内での悪質な競争を指す。
(王植一)
(中国)
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