アフリカ最大、654MW規模の風力発電所が商業運転開始、豊田通商が主導

(エジプト、日本)

カイロ発

2025年07月15日

豊田通商は7月2日、グループ会社のユーラスエナジーホールディングスと、フランスの独立系発電事業者エンジー、エジプトの大手ゼネコンのオラスコム・コンストラクションとともに手掛ける「スエズ湾風力発電所II」が商業運転を開始したと発表した。この風力発電所は風況の良いスエズ湾沿いに位置し、設備容量は654メガワット(MW)でアフリカ最大だ。104基の発電機で構成し、うち20基は1基当たりの発電容量が7.5MWで、陸上風力発電機として世界最大級の発電機を用いている。

総事業費は約7億9,000万ドルで、日本の国際協力銀行(JBIC)、日本貿易保険(NEXI)、三井住友銀行、農林中央金庫、フランスのソシエテ・ジェネラル銀行、欧州復興開発銀行(EBRD)が協調融資を行う(2024年11月26日記事参照)。売電先はエジプト送電公社(EETC)で、25年間にわたって売電する。

豊田通商がエジプトで風力発電事業に携わるのは今回が2例目だ(2023年3月9日記事参照)。事業会社の秋山早奈江最高財務責任者(CFO)は「人口増加と経済成長により、エジプトの国内電力需要は今後も堅調に伸び続けることが見込まれる一方、エジプト政府は再生可能エネルギー発電比率を大幅に引き上げる方針を掲げている。当社は総出力916.5MWに及ぶ2件の風力発電所の運営を通じて、同国の再生可能エネルギー電源の拡大、持続可能な経済成長への寄与を目指す」と語った。

エジプト政府は2030年までに再生可能エネルギー発電比率を42%まで引き上げる目標を掲げている。国際エネルギー機関(IEA)によると、2023年時点でエジプトの風力発電の発電量は6,686ギガワット時(GWh)で、総発電量の3.1%を占める。2020年以降、再生可能エネルギーの中では水力に次ぐエネルギー源で、伸び率も大きい(添付資料図参照)。

(塩川裕子)

(エジプト、日本)

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