コンゴ民主共和国、首相訪日に合わせ、「DRC・日本ビジネスフォーラム」を大阪で開催
(日本、コンゴ民主共和国)
大阪本部海外ビジネス推進課
2025年07月01日
コンゴ民主共和国(DRC)国家投資促進庁(ANAPI)は6月28日、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)でのナショナルデーに合わせて、「コンゴ民主共和国・日本ビジネスフォーラム」を大阪で開催した。DRCのジュディット・スミヌワ・トゥルカ首相らが登壇し、インフラ整備や経済改革に向けて、日本に投資と協力を呼びかけた。
スミヌワ首相はあいさつで、近年の国内での構造改革と投資環境について説明した。DRCは2024年に国家構造改革シナリオ「コンゴビジョン2050」を策定した。これは、鉱業や農業、エネルギーなどの分野で多角化を図り、中所得層を増やし、貧困撲滅を推進するもので、2028年までの計画では、インフラ整備、人材開発、地域開発、ウェルビーイングを推進しているという。これに合わせて、効率的な生産活動を可能とするビジネス環境整備に力を入れており、ワンストップ窓口の設置や法制度整備、税制優遇などを実施している。同首相は、DRCはアフリカの中央という地理的要衝にあるだけでなく、コバルトやリチウムなど重要鉱物資源が採掘できる国だと指摘した。また、約1億人の国内市場や、南部アフリカ開発共同体(SADC)、東南部アフリカ市場共同体(COMESA)を含むと、数億人の巨大市場があると強調した。また、外国企業が投資しやすいよう、資金調達メカニズムや官民連携(PPP)法令の整備、投資協定の締結など、プロジェクトの補償とリスクシェアリングに関するメカニズムの構築を推進しているという。また、投資の実施は平和が前提とした上で、DRCとルワンダが6月27日に米国の仲介の下、DRC東部の紛争終結のための和平協定を締結
したことに触れ、これは地域の平和と発展につながるものだとした。日本企業には、DRCへの投資を通じて共通の未来を一緒に構築してほしいと呼びかけた。
スミヌワ首相のスピーチ(ジェトロ撮影)
国際協力機構(JICA)アフリカ部アフリカ第4課の加藤浩一課長は、DRCでの健康と安全の確保に向けた環境整備活動について報告した。DRCでは感染症対策のほか、現地の警察と連携して、地元コミュニティーと信頼関係の構築に向けた協力を行っているという。基盤インフラ整備では、マタディ橋やキンシャサでの道路整備を進めているほか、ソフト面では、経済の多角化に不可欠な職業訓練分野でも協力を行っている。さらに、コンゴ盆地は気候変動対策で非常に重要な場所のため、同地域を守る活動も推進していると語った。
エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の久保田博志理事(金属資源開発本部長)はDRC向けの活動を説明した。アフリカでは、ボツワナに人工衛星を用いた地質リモートセンシングセンターを設置しており、DRCを含むSADC加盟国への技術支援を実施し、これまでDRCの技術者150人に指導を行っていると述べた。これに加え、近年は投資促進活動も行っており、2024年2月に官民ミッションを派遣した。ミッションでは、現地の精錬所やカナダの鉱業会社アイバンホー・マインズが開発しているカモラ・カクラ鉱山を視察するなど、DRCへの関心を喚起しているという。JOGMECとしてはDRCに投資しやすい環境を作っていきたいと述べた。
フォーラムの終盤には、マンガン鉱石、合金鉄生産を手掛けるアジア・ミネラルズとDRCの鉱山探査会社ケリス・リソーシーズによるDRCのマンガン鉱山開発に関する覚書(MOU)の締結式が行われた。
MOUの締結式(ジェトロ撮影)
(齋藤寛)
(日本、コンゴ民主共和国)
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