インバウンド客がアマゾン・ジャパンの商品を免税価格で購入可能に
(日本、世界)
デジタルマーケティング部ECビジネス課
2025年07月23日
インバウンド(訪日外国人)向けの免税EC(電子商取引)プラットフォーム「タックス・フリー・オンライン(TaxFreeOnline.jp、以下TFO)」(注)を運営するスタートアップ企業のアイエントマージは7月4日、アマゾン・ジャパン(米国アマゾンの日本法人)で販売されている一部の商品の取り扱いを開始した。これにより、非居住者(主にインバウンド客)は、TFO上に掲載されたアマゾン・ジャパンの商品を免税価格で購入することが可能となった。
2025年7月現在、TFOを通じて購入可能なアマゾン・ジャパンの商品群は、菓子・飲料、ホーム・キッチン、化粧品、パーソナルケア商品で、アイエントマージによると、今後は家電製品や美容家電なども掲載を予定している。非居住者がTFO上で購入した商品は、商品の出品者の責任のもと免税品専用の袋に封入され、購入者は同社が運営する羽田空港、成田空港、関西空港の指定所でパスポートの提示と引き換えに受け取りが可能だ。
インバウンド客の中では、限られた訪日期間を有効に使いたいという「時短ニーズ」と、荷物や土産物を持ち歩いて観光したくないという「手ぶら観光ニーズ」が高まってきている。前者は、モノ消費(買い物)への時間をコト消費(体験)への時間に十分当てていくことで、タイムパフォーマンスを重視する考えに沿う。後者は、旅行地点のホッピング時の不自由さの解消や、携行荷物が比較的多くなるファミリー層への利便性向上や、買い物消費額の上昇につながる。
日本政府観光局(JNTO)は7月16日、2025年上半期(1~6月)のインバウンド客数が2,151万8,100人となり、過去最速で2,000万人を突破したと発表した。また、6月の単月では337万7,800人(前年同月比7.6%増)となり、同月の過去最高を記録した。出身国・地域別では、米国が単月の過去最高で、韓国や台湾、シンガポールなど15カ国・地域でも6月の最高記録だった。
インバウンド客が増加するにあたり、買い物をする店舗においては、免税手続きなどを行うと、日本人への接客よりも時間を要し、接客単価が高くなる傾向にある。そのため、オンラインで免税購入が可能なECプラットフォームの利用が増えると、店舗における人手不足解消への一助となると期待されている。
(注)アイエントマージは2023年創業のスタートアップ企業(東京都渋谷区)で、TFOは、取得した国内特許(特許第6554640号)に基づいた、日本初の免税ECプラットフォーム。2025年7月現在、アマゾン・ジャパンの商品を含め商品数は1万2,000点以上。プラットフォーム上で免税購入された商品は、日本国内の主要空港・駅または提携先宿泊施設の計54地点で、購入者のパスポートの確認後に受け取れる。63カ国・地域のインバウンド客の利用実績を持つ。
(志賀大祐)
(日本、世界)
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