レソト国王がナショナルデーで訪日、大阪・関西万博会場でビジネスフォーラム開催

(日本、レソト)

大阪本部海外ビジネス推進課

2025年07月04日

レソト国家開発公社(LNDC)は7月1日、国王レツィエ3世が2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のナショナルデーに合わせ訪日した機会を捉え、大阪で「レソト・日本ビジネスフォーラム2025」を開催した。

同国王は基調講演でレソトの概要や投資の魅力について次の点を挙げた。

  • 同国は人口200万人の豊かな天然資源に恵まれた国だ。
  • 南アフリカ共和国に囲まれた内陸国で、南部アフリカの地理的に重要な位置にある。
  • 手つかずの自然、壮大な山岳地帯、豊かな文化遺産といった観光資源がある。
  • 豊富な水資源による水力発電をはじめとする再生可能エネルギー源。
  • 繊維や衣料、皮革製品といった軽工業の基盤に加え、アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)など自由貿易協定(FTA)を通じて広範な市場へのアクセスが可能。

その上で、日本企業にこれらの分野への投資を呼びかけた。また、これまでの日本による農業、教育、インフラ、エネルギー分野への支援に謝意を示した。

写真 スピーチするレソトのレツィエ3世国王(ジェトロ撮影)

スピーチするレソトのレツィエ3世国王(ジェトロ撮影)

来賓として登壇した石橋林太郎衆議院議員(元国土交通大臣政務官)は、両国は1971年の外交関係樹立以来、食糧確保面の協力や、農業分野の人材育成支援などを実施してきたと強調した。また、レソトは国土が標高1,000メートル以上にあり、水資源が豊富で、水不足に苦しむ周辺国の水がめとなっているだけでなく、冷たい水があるために、レソトのダムでニジマスの淡水養殖が行われており、日本への輸出実績もあると述べた。

ジェトロの片岡進副理事長は、レソトと日本の経済関係や共通点に言及した。レソトでは良質な綿花が採集できることもあり、繊維産業が盛んだと指摘した上で、リーバイスをはじめ世界的に有名なジーンズブランドの製造拠点となっており、日本をはじめ多くの国々に輸出されていると述べた。また、日本はアジア太平洋地域で自由貿易を推進しているが、レソトは1910年に発効した現存する世界最古の関税同盟である南部アフリカ関税同盟(SACU)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますに加盟するなど、両国は自由貿易に価値を置く国だとした。さらに、脱炭素化に向けた問題意識について価値観を共有し、両国はともに豊富な水資源を有し、水力発電に重きを置いていることにも触れた。その上で、8月に横浜で開催される第9回アフリカ開発会議(TICAD9)でアフリカ諸国向けに展示スペースを設けるので、ぜひ自国のビジネス環境のPRに使ってほしいとレソト側に呼びかけた。

写真 登壇者による記念撮影(ジェトロ撮影)

登壇者による記念撮影(ジェトロ撮影)

このほか、レソト国家開発公社による同国の投資環境に関する説明や、レソト高地開発公社(LHDA)の水力発電プロジェクト、レソト観光開発公社(LTDC)による観光開発分野のプロジェクトの紹介があった。加えて、大阪商工会議所とレソト商工会議所の覚書(MOU)の締結式も行われた。

写真 MOU締結式(ジェトロ撮影)

MOU締結式(ジェトロ撮影)

(齋藤寛)

(日本、レソト)

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