インドネシア、バリ島サヌールに初の保健経済特区を開設

(インドネシア)

ジャカルタ発

2025年07月02日

インドネシアのバリ州デンパサール市サヌール地区で指定されていた「サヌール保健経済特区」が6月25日、正式に開業し、同日には中核施設となるバリ国際病院(BIH)の開業式が行われた。式典には、プラボウォ・スビアント大統領が参加した。同地区は、国内で初めて保健分野に特化した経済特区(SEZ)となる(6月25日付国家官房プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

本SEZは、ジョコ・ウィドド前政権下の政令2022年第41号に基づき指定されたもので、面積は約41.3ヘクタールに及ぶ。医療と観光を融合した「ヘルスツーリズム」の振興を目的とする。政府は、同特区への投資額が累計で10兆2,000億ルピア(約918億円、1ルピア=約0.009円で換算)、創出される雇用が1万8,375人に達すると見込む(6月25日付インドネシア経済特区国家評議会プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。加えて、これまで海外で医療サービスを受けていた国民の国内回帰による資本流出の抑制(年間で最大86兆ルピア)や、外国人患者の誘致による外貨獲得(年間約19兆6,000億ルピア)といった経済効果も期待される。

SEZの中核施設であるBIHは、国営石油会社プルタミナ傘下の医療ホールディングスであるプルタミナ・ビナ・メディカ・インドネシア・ヘルスケア・コーポレーション(Pertamedika IHC)が運営する(「アンタラ」6月26日)。BIHは、米国の著名な総合病院メイヨー・クリニックとの提携のもと(「コンパス」2023年6月18日)、国際水準の医療サービスを提供することを特徴としており、2025年4月に一部の診療科が先行して開業していた(「アンタラ」4月29日)。BIHは病床数255床、延べ床面積約6万7,000平方メートルで、心臓や脳神経に関する治療など高度専門医療を提供する。

SEZ内にはBIHのほか、5つ星ホテルの「グランド・インナ・バリ・ビーチ(Grand Inna Bali Beach)」や最大5,000人収容可能なコンベンションセンター、商業施設、高齢者向け施設などが整備される計画だ。

(八木沼洋文)

(インドネシア)

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