輸入規制の緩和により、上半期の貿易黒字は大幅減
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2025年07月25日
アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)が7月17日に発表した貿易統計によると、2025年上半期(1~6月)の輸出額は前年同期比4.0%増の397億4,200万ドル、輸入額は同34.6%増の369億5,400万ドルだった(添付資料図、表1参照)。貿易収支は、27億8,800万ドルの黒字だったが、前年同期の黒字107億4,200万ドルから大幅に減少した。2025年上半期は前年同期に比べて、輸入代金の支払い規制が緩和されたことなどにより、輸入が増加し、それが今回の貿易黒字縮小の原因とされている。
上半期の輸出額を品目別にみると、燃料・エネルギーは前年同期比10.8%増、中でも原油が同25.0%増加した(添付資料表1参照)。工業製品は同10.2%増だった。一次産品と農畜産物加工品は、それぞれ前年同期比0.4%増、同0.1%増で、ほぼ横ばいだった。輸出額全体の10.4%を占める大豆油かす(品目としては食品産業残留物に含まれる)は前年同期比21.8%減少した。輸出額全体の9.8%を占めるトウモロコシは同6.6%増、8.0%を占める石油および歴青油(原油に限る)は同25.0%増加した。
輸入については、燃料・潤滑油関連品を除き、ほぼ全ての品目の輸入額が前年同期比で大きく増加した。乗用車が前年同期比2.3倍、資本財が同73.8%増、消費財が同73.5%増、資本財の部品が同32.9%増、中間財が同9.7%増だった。
輸入額全体の2.3%を占める「シリンダー容積が1,000立方センチ超~1,500以下の乗用車」は前年同期比3.1倍、2.1%を占める「シリンダー容積が1,500立方センチ超~3,000以下の乗用車」は同59.5%増と大きく増えた。他方で、輸入額全体の4.0%を占める大豆は前年同期比で16.3%減少した。
上半期の輸出額を仕向け地別にみると、最大の貿易相手国ブラジル向けは前年同期比3.1%減、次いで米国向けが同17.6%増、チリが同14.1%増で、中国を抜いて第3位の輸出相手国に浮上した(添付資料表2参照)。ブラジルからの輸入額は前年同期比49.9%増、中国が同79.4%増、米国からは同5.6%増加した。対日貿易では、輸出額が前年同期比25.5%増、輸入額が同30.0%増で、チリにとって5億8,900万ドルの貿易赤字だった。
中央銀行が民間エコノミストらを対象に毎月実施している主要経済指標の予測値に関するアンケート調査(REM)の6月の最新調査結果によると、2025年通年の輸出額は815億4,100万ドル(前年比2.3%増)、輸入額は754億800万ドル(同24.0%増)が見込まれている。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
ビジネス短信 623630d75ee40840