中国民航局、3Cマークのないモバイルバッテリーの国内線への持ち込みを禁止

(中国)

大連発

2025年07月02日

中国民用航空局(以下、民航局)は6月26日に緊急通知を発表し、6月28日から3C認証(注1)マークのないモバイルバッテリー、3C認証マークが不明瞭なモバイルバッテリー、リコール対象となっている型番またはロットのモバイルバッテリーを乗客が中国国内線に機内持ち込みすることを禁止すると発表した(注2)。

今回の措置の背景としては、2025年に入ってから、乗客が持ち込むモバイルバッテリーなどのリチウム電池製品が航空機内で発火・発煙する事件が多発していることがある。最近では、複数の主要ブランドのモバイルバッテリーメーカーが電池の安全性に問題があるとして、複数の製品をリコールしている。また、国家市場監督管理総局も、複数のモバイルバッテリーおよびバッテリーセルメーカーの3C認証を取り消しまたは一時停止した。

今回の措置を踏まえ、具体的な運用については各空港の公式ウェブサイトや公式SNS(ウィーチャットなど)を確認する必要がある。一例として、遼寧省大連市の大連周水子国際空港では、モバイルバッテリーを機内持ち込みする場合、搭乗前に次の点を確認するよう呼び掛けている。

  • モバイルバッテリーに3C認証マークがあるかどうか、3C認証マークが明瞭かどうか(注3)。
  • モバイルバッテリーがリコール対象の型番またはロットに該当しないかどうか(注4)。
  • モバイルバッテリーの3C認証が有効かどうか(注5)。

また、同空港では規定に合わないモバイルバッテリーの処理方法として次の3つの選択肢を案内している。

  • 自主廃棄:乗客は、空港内の指定された場所で、モバイルバッテリーを廃棄することができる。
  • 一時預かり:一部の空港では荷物の一時預かりサービスを提供しており、乗客はモバイルバッテリーを空港に預けておくことができる。一時預かりの期限と金額は空港により異なる(例:大連周水子国際空港は出発当日の午後9時まで無料の預かりサービスを提供している)。
  • 宅配便:乗客は、モバイルバッテリーを宅配便で自宅または他の場所に送ることができる(注6)。

(注1)3C認証の正式名称は「中国強制製品認証」で、英語名称はChina Compulsory Certification、英語の略称はCCC。消費者の身体の安全と国家安全を守り、製品の品質管理を強化するため、中国政府が法律や規制に従って実施する製品の合格評価制度を指す(詳細はジェトロ貿易・投資相談Q&A「中国の強制製品認証制度について」参照)。

(注2)「民用航空乗客のモバイルバッテリー機内持ち込みに関する規定」によると、モバイルバッテリーは手荷物あるいは身につけて機内に持ち込むことが許され、預け入れ荷物として持ち込むことは厳しく禁じられている。

(注3)中国では2023年8月から、モバイルバッテリーの生産・販売に3C認証が義務付けられている。2023年8月以前に生産されたモバイルバッテリーは、3C認証を受けていない可能性が高いことに注意する必要がある。

(注4)6月16日に、深セン羅馬仕科技(Romoss)は一部の型番(PAC20-272、PAC20-392、PLT20A-152)のモバイルバッテリーをリコールした。また、6月21日には,安克創新科技(Anker)が一部の型番(A1642/A1647/A1652/A1680/A1681/A1689/A1257)のモバイルバッテリーをリコールした。なお、各社のモバイルバッテリーのリコール情報は、「国家市場監督管理総局欠陥製品回収技術センター」の公式ウェブサイトの「消费品リコール(召回)」項目外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで確認できる。

(注5)Romoss、Anker、シャオミ(小米、Xiaomi)、UGREEN、BASEUSなどの有名なモバイルバッテリーのブランドは、一部の製品の3C認証が取り消され、または一時停止されている状況。モバイルバッテリーの3C認証が有効かどうかの確認は国家市場監督管理総局「全国認証認可情報公共サービスプラットフォーム外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で調べることが可能。

(注6)ただし、宅配会社がモバイルバッテリーの取り扱いを断っているとの報道もあるため、取り扱い状況をよく確認する必要がある。

(呉暁東)

(中国)

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