トルコのISO、工業部門500社の売上高などを公表

(トルコ、イタリア、欧州)

イスタンブール発

2025年07月07日

イスタンブール工業会議所(ISO)は2025年5月27日、2024年の工業部門500社(ISO500社)の売上高、輸出高などを公表した(ISO 500 2024外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。例年どおり、エネルギー、自動車、家電、鉄鋼、防衛産業の分野が上位を占めた。鉄鋼産業のランクインが目立ち、輸出額は前年比14.9%増となった。同産業をめぐっては、トルコ政府は2024年に一部輸入製品へアンチダンピング措置を課したほか(2024年10月17日記事参照)、現在、シリア復興需要向けの輸出拡大への期待も高まっている。

企業首位はテュプラシュ(石油精製、前年同位)だった。次いでフォード・オトサン(自動車)、スター製油所(石油精製)、トヨタ・トルコ(自動車)が続いた。「ISO 500 2024」には、日本企業が出資している企業18社がランクインした(添付資料表1~3参照)。

11位のトゥサシュや17位のアセルサンをはじめとしたトルコ防衛関連企業は近年急成長し、防衛産業は一大産業となっている。2024年の防衛および航空産業の輸出額は前年比29%増、71億5,400万ドルに達した。さらなる輸出拡大を目指すが、一部のNATO加盟国はトルコからの防衛産業関連の輸入を制限している。これに対してトルコは、あらゆる機会をとらえて、NATO加盟国間の防衛産業における貿易障壁の撤廃やEU加盟国と非加盟国の連携の重要性を訴えている。こうした中、2025年6月24~25日にオランダ・ハーグで開催のNATO首脳会議で、同機構のマルク・ルッテ事務総長は「トルコは非常に大規模な防衛産業基盤を有している。同産業基盤は英国、ノルウェー、EUと緊密に連携すべきで、NATO内で障壁を撤廃すべきである」と言及した。直近では、7月1日、トルコ防衛産業の最大手で無人航空機などの開発と供給で知られているバイカルは、航空機などを製造するイタリアのピアッジオの買収を完了した。今回の買収は、バイカルとイタリアの航空宇宙、防衛産業大手のレオナルドの無人航空機の共同開発をも見込んでいる。バイカルは、2024年に18億ドル規模の輸出を達成し、トルコの輸出企業上位10社に入っているが、「ISO 500」調査には参加していない。米国のシンクタンク、新アメリカ安全保障センター(CNAS)の2024年9月の報告書によると、トルコは世界の無人航空機輸出市場の65%を占め、そのトルコの同製品輸出市場の約60%を同社が占めているという。同社の無人航空機は世界35カ国へ輸出されている。

(井口南)

(トルコ、イタリア、欧州)

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