民間消費と投資の増加で、第1四半期GDP成長率は前年同期比5.8%
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2025年07月23日
アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は6月23日、2025年第1四半期(1~3月)の実質GDP成長率が季節調整済み前期比で0.8%、前年同期比で5.8%だったと発表した(添付資料図参照)。季節調整済み前期比は、3四半期連続のプラス成長となったが、前期や前々期に比べて成長率は鈍化した。前年同期比の高い成長率は、落ち込みが大きかった2024年第1四半期の反動とみられる。民間消費と総固定資本形成の拡大がGDP全体の押し上げ要因となった。
GDP成長率を需要項目別にみると、総固定資本形成が前年同期比31.8%増と大きく拡大した。この理由についてINDECは、建設投資(同8.4%増)、機械・設備への投資(同48.9%増)、輸送機器への投資(同74.7%増)などの好調を挙げている。民間消費は前年同期比11.6%増、輸出は同7.2%増加した。他方、輸入も同42.8%増と大幅に増加した。
経済活動分野別にみると、金融仲介サービスが前年同期比27.2%増、漁業が同11.6%増、ホテル・レストランが同9.0%増、商業(卸売り・小売り)・修理業が同7.3%増と好調だった(添付資料表参照)。
今後の見通しについて、中央銀行が民間エコノミストらを対象に毎月実施している主要経済指標の予測値に関するアンケート調査(REM)の最新調査結果によると、季節調整済み前期比のGDP成長率は、第2四半期(4~6月)が0.4%、第3四半期(7~9月)が0.7%、第4四半期(10~12月)が0.6%、2025年通年では5.0%となっている。INDECが6月30日に発表したGDPの先行指標である産業活動指数(EMAE)の2025年4月の値は、前月比で1.9%増、前年同月比で7.7%増と好調で、特に商業や製造業が活発だった。
6月23日付現地紙「インフォバエ(電子版)」は、今後もマクロ経済と為替市場が安定し、好調が維持される、とのエコノミストらの見方を伝えている。しかし、2025年4月に為替制度を為替バンド制に移行してからの約2カ月間、1ドル=1,150~1,200ペソで安定していた為替レートが、7月に入って1,300ペソ前後まで下落するなど、その変動が大きくなっている。また、7月10日には上院において、財政支出の大幅な増加につながる高齢者への年金支給額を引き上げる野党提出の年金改革法案が可決され、政府と野党の対立が増した。このような政治の動きが、今後の為替市場にも影響するかが注目される。
(山木シルビア)
(アルゼンチン)
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