資源国の赤道ギニア、大阪・関西万博のビジネスフォーラムで投資呼びかけ

(赤道ギニア、日本)

調査部調査企画課

2025年07月29日

赤道ギニア政府は7月16日、同国の経済・投資環境や重点産業分野(観光、農業、漁業など)を紹介するビジネスフォーラムを大阪で開催した。2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の赤道ギニアのナショナルデー(7月15日)関連イベントとして開催されたもので、同国政府からマウリシオ・エプカ・オバマ日本大使(注)やヘロニモ・エコロ情報文化プレス相などの閣僚を含む7人が参加した。

中部アフリカの国、赤道ギニアは豊富な天然資源開発を背景に、急速な経済成長を遂げてきた。オバマ大使はフォーラムで、同国が石油・天然ガス依存から脱却する過渡期にあるとし、日本企業とはインフラや農林水産業、テクノロジーなどの分野で提携したいと述べた。

ヘロニモ・カルロス貿易、企業・産業振興担当副大臣は赤道ギニアに投資すべき理由として、(1)アフリカ大陸自由貿易圏(AfCFTA)や中部アフリカ諸国経済共同体(ECCAS)などに属し、周辺国への輸出が容易にできること、(2)政治・通貨の安定性、(3)中部アフリカ随一のインフラの3点を挙げた。また、外国企業による直接投資に関し、同国はさまざまなインセンティブを有しているとし、次を紹介した。

  • 会社設立手続きの簡素化(申請から72時間で登記。石油部門以外は外資出資比率100%が可能)
  • 個人所得税(IRPF)、法人税(IS)の35%から25%への引き下げ
  • 配当・清算資産の自由な外貨送金の保証
  • 非居住企業に対する源泉徴収税率は15%から10%に、居住企業に対しては6.25%から3%に引き下げ。

加えて、赤道ギニアは電力普及率82%と電力供給が安定しており、将来的には近隣諸国への電力の販売、工業団地やデータセンターの誘致も視野に入れていると述べた。

その後、重点産業分野として観光、農業、漁業などを紹介した。観光分野では、アントニオ・ボルプ観光・観光インフラ相(Minister for Tourism and Tourist Infrastructures)が、2023年7月からEビザの発行が開始されたことを取り上げた。フアン・トモ農林水産・環境相は、同国が商品作物としてカカオ、コーヒー、油ヤシ、ココナッツを生産し、木材として原木を輸出している現状を説明した上で、伝統的農業からの脱却や木材加工品の輸出に向けて、日本の技術への期待を示した。フアン・ムブラ漁業水産資源副大臣は、漁業には技術的な課題があって未発達だが、商業漁業や養殖技術の導入により、年間9万1,000トンの漁獲量が期待できるとした。さらに、今後、冷凍・缶詰加工の産業化が進めば、周辺国からの高い需要に応えることが可能になると述べた。

写真 フォーラムに出席する閣僚(ジェトロ撮影)

フォーラムに出席する閣僚(ジェトロ撮影)

(注)駐日大使館はなく、在中国の赤道ギニア大使館が日本を兼轄している。

(中村周)

(赤道ギニア、日本)

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