「メード・バイ・マレーシア」チップ開発に向け、ペナン州に設計拠点開設

(マレーシア)

クアラルンプール発

2025年07月03日

マレーシア・ペナン州の投資誘致機関インベスト・ペナンは7月1日、地場集積回路(IC)設計企業の育成と次世代チップ開発を支援する「ペナン・シリコン・リサーチ・アンド・インキュベーション・スペース」を開設したと発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。本施設は、2024年9月に発表した優遇策「ペナン・シリコン・デザイン@5km+」(2024年10月1日記事参照)の一環で、国家半導体戦略(NSS)(2024年6月13日記事参照)にも沿った取り組みだ。

同施設は、電気電子企業が集積するバヤンレパスのGBSテックスペースに、3万6,000平方フィート(3,344平方メートル)の専用スペースを確保した。高性能サーバー、最先端の研究設備、電子設計自動化(EDA)ツールなどを完備し、IC設計を手掛ける企業に対し技術コンサルティング、メンタリング、共同開発プログラムなどの支援体制を用意。入居企業向けには、賃料、光熱費、人材育成などの補助も行う。

入居するマレーシア企業5社の社名と主な事業は次のとおり。

  1. フィルパル(FILPAL):人工知能(AI)技術を活用し、無線・衛星通信向け設計。
  2. インフィネクス・ラボ(Infinecs Lab):電源管理ICと光技術に特化した、クラウドやAI向け設計。
  3. シリコン・エックス(Silicon X):AI、機械学習、自動化向けのIC設計。国産チップを開発中で、近く発表予定。
  4. スカイチップ(SkyeChip):高性能コンピューティングとAI向けにチップ開発。今回のスペース開業にあたり同社は、AIやクラウドコンピューティング、スマートデバイス向けに最適化した、自社開発の先進チップを発表。
  5. ソフィック・オートメーション(Sophic Automation):スマート工場向けのIC設計と自動化技術。

インベスト・ペナンによれば、同州でIC設計を行う企業の数は、2024年5月から約2倍の45社超に増加した。ペナン州のチョー・コン・ヨー州首相は「本スペースの開設により、より多くの地場IC設計企業、ならびに『メード・バイ・マレーシア』チップを育成し、東洋のシリコンバレーとしてのペナンの地位を強化したい」と、IC設計の地域ハブを目指す考えを示した。

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

ビジネス短信 59173f2c10d5113a