サファリコムの通期純利益10.8%増、エチオピアのユーザー数は1,000万人突破
(エチオピア、ケニア)
アディスアベバ発
2025年07月23日
ケニアの通信大手サファリコムは、2025年3月期(2024年4月~2025年3月)の通期決算を発表した。グループ全体の収益は前年度決算と比べ11.2%増の3,887億シリング(約4,470億円、1シリング=約1.15円)、純利益(注1)は10.8%増の698億シリングとなった。
ケニア事業の収益は、モバイル決済サービス「M-PESA」が15.2%増の1,611億シリング、モバイルデータ部門も15.2%増の729億シリング、音声通話部門が1.6%増の808億シリングとなった。M-PESAの月間アクティブユーザー数は10.5%増の3,582万人に達し、取引件数は29.5%増の372億件、取引総額は1.6%増の38兆3,000億シリングと拡大している。
また、2022年に商業サービスを開始したエチオピア事業も拡大を続けている。2025年3月期の収益は前年比65.4%増の89億シリングに達し、グループ全体の売り上げ成長の9.3%を占めた。90日間のアクティブユーザー数は2.03倍の880万人、その後の7月9日時点では1,000万人を突破したと発表している。M-PESAユーザーは68.7%増の240万人となった。モバイルデータ部門は35.8%増の57億シリング、音声通話部門も14.1%増の12億シリングと順調に拡大している。
一方、2024年7月に導入された為替制度改革により(2024年8月2日記事参照)、エチオピアの通貨ブルは対ドルで半値以下(注2)に下落し、サファリコムは巨額の為替差損を被った。この影響でエチオピア事業は上期に加えて下期も赤字が継続し、通期の損失額は前年度より増加した。
なお、エチオピアにおいては、国営通信会社エチオテレコムが2024/2025年度上半期(2024年7月~12月)時点で加入者数8,050万人を記録し、通信サービスの普及率は全国で72.2%に達したと発表した。同社のモバイル決済サービス「Telebirr」のユーザー数は5,150万人を超えており、サファリコムは依然として厳しい競争下に置かれている。
(注1)少数株主持ち分を除く。
(注2)2024年6月の1ドル=57.29ブルから2025年3月に125.25ブルへ下落。
(石川晶一)
(エチオピア、ケニア)
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