セネガル政府、サウジアラビア企業と海水淡水化プラント建設事業で契約署名

(セネガル、サウジアラビア)

アビジャン発

2025年07月30日

セネガルの水利・衛生省は7月17日、海水淡水化事業などを展開するサウジアラビアのアクワ・パワーと、「グランド・コート海水淡水化プラント建設事業」に係る再交渉契約に署名した。投資総額は8億ドルで、西アフリカ地域で最大の海水淡水化事業になる。再生可能エネルギーのみによる世界でも数少ない大規模海水淡水化事業の1つで、この事業はセネガル政府の気候変動対策やサステナビリティー目標にも合致している。

2024年3月に前政権下で初期契約が締結されたが、水価格や長期的コストを巡る課題が指摘され、同年9月以降、バシル・ジョマイ・ジャファール・ファイ現大統領の指示の下、再交渉が開始された(セネガル国営「RTS」7月29日付報道)。今回、水価格の低下や、国が負担する年間賃貸料の大幅な削減、営業利益の分配に関する有利な見直し、譲許的融資の強化、地域コンテンツや研修制度の推進が成された。また、官民パートナーシップ(PPP)契約の専門機関のセネガル官民パートナーシップ支援ユニット(UNAPP)と、公共調達の審査・監督機関の中央公共調達局(DCMP)の承認などの成果を引き出し、セネガル国営水道公社(SONES)との長期的な協力に基づくPPP契約と政府支援協定への署名が行われた。

グランド・コートは、ダカールの北東約40キロに位置するラック・ローズ市街地に位置し、今回の事業は1日当たり20万トンの2フェーズで構成され(合計1日に40万トン)、2031年の完全稼働を予定している。同事業により、都市部全体の飲料水需要の80%が集中するダカール、ンブール、ティエス三角地帯(DMT)の需要を満たすことが見込まれる。現地報道によると、建設地周辺には、ブレーズ・ジャーニュ国際空港や、ジャムニャジョ新都市拠点、バルニー港湾、スポーツ施設、大学・医療機関、観光開発地域など、国家重点インフラが集積しており、水資源供給体制の抜本的強化を通じて地域開発の加速と人口増加への対応に寄与すると考えられる。

なお、セネガルでは、国際協力機構(JICA)の円借款事業「マメル海水淡水化事業」の一環として、豊田通商がフランスの建設大手エファージュとインドの水エンジニアリング大手のワバッグと共同で、海水淡水化プラント(1日当たり5万トン)を建設中だ。

(長屋幸一郎、橘欣子)

(セネガル、サウジアラビア)

ビジネス短信 55928de2f8e643f7