大型投資奨励制度(RIGI)の審査プロセス加速で案件増に期待
(アルゼンチン)
ブエノスアイレス発
2025年07月24日
アルゼンチンのハビエル・ミレイ政権による直接投資誘致の切り札、大型投資奨励制度(RIGI)の創設から7月8日で1年が経過した。施行規則の公布や評価組織の創設などを経て、2024年10月22日に申請受け付けを開始した。しかし、その後は政府が思い描いていたほどの速度で案件の申請と承認が進んでいるわけではなかったようだ。
2025年5月に訪日した経済省のエステバン・マルソラティ工業・商業長官はジェトロに対して、「この制度は新規のもののため、調整を行いながら進めている。手続きの煩雑さなど官僚的な問題も存在することは承知しており、手続きが円滑化するようわれわれも望みながら、審査プロセスを進めている」と述べていた。その後、政府は申請手続きの迅速化と制度の透明性向上を図るべく、経済省決議983/2025号を7月16日に公布し、申請手続きを完全にデジタル化し、行政審査の期間を45営業日に設定するなどした。
7月22日までにRIGI適用を申請した案件は11件、うち承認案件は5件となっている(添付資料表参照)。申請案件を分野別に見ると、鉱業5件、炭化水素3件、再生可能エネルギー2件、製鉄1件で、鉱業の内訳はリチウム3件、金1件、銅1件となっている。アルゼンチンの銅はアンデス山脈沿いのサン・フアン州、メンドサ州、カタマルカ州、サルタ州などに豊富な埋蔵量を有するとされている。資源メジャーによる開発案件も複数存在することから、申請案件が今後増加するのは時間の問題との見方もある。
RIGI申請期限は法律の発効から2年、すなわち2026年7月8日までとされているが、政府は1度限り、その期限を1年間延長することができる。申請案件の増加や、審査プロセスの加速が引き続き期待される。
(西澤裕介)
(アルゼンチン)
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