カザフスタン、米国の一律関税25%に対し2国間協議へ

(カザフスタン、米国)

タシケント発

2025年07月16日

米国のドナルド・トランプ大統領は7月7日、カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領に宛てた書簡を自身のソーシャルページに掲載し、2025年8月1日からカザフスタンから輸入される全商品に25%の関税を課すと発表した。この税率は、米国が4月2日に発表したカザフスタンに対する27%の関税率よりも低い(2025年4月9日記事参照)。カザフスタン政府は米国と協議を行う構えの一方、新関税の対象外品目も多いことから、影響はわずかと指摘する声もある。

7月8日付のカザフスタン貿易・統合省の声明および7月10日付のトカエフ大統領の回答書簡では、カザフスタンは自国の国益を守るため、妥協点を見いだし、米国側と交渉を進める用意があると表明した。カザフスタン側は、すでに相互の貿易条件を改善するための提案を米政権に送付している。

ただ、大部分の製品は関税対象外となるとみられる。カザフスタン貿易・統合省によると、カザフスタンの対米輸出の95%は、4月2日付の米国大統領令付属書2によって定められた関税措置の対象外だ。今回対象外となる品目には、石油(2024年の対米輸出額:11億ドル)、ウラン(3億2,290万ドル)、銀(2億3,990万ドル)、合金鉄(1億8,820万ドル)、タンタルおよび同製品(1,760万ドル)が含まれる。これらの製品は、2024年のカザフスタンの対米輸出21億ドルの89%を占める。一方で、新たな関税の対象となる主な製品は、光学製品、レンズ、小麦グルテン、リン、その他の農産物などで、輸出に占める割合は5%以下だ。

Rファイナンスのアルマン・バイガノフ・ファイナンスアドバイザーは、9,500万ドル相当の対米輸出製品のみが規制の対象となるため、カザフスタン経済への影響は最小限にとどまる、との見解を示した(「セントラル・メディア」7月8日)。一方、独立系メディア「EconomyKZ.org」の専門家リナ・エーゲル・キジー氏は、カザフスタンはグローバルサプライチェーンにおける地位を失わないために、新たな保護主義が出現する時代に迅速に適応しなければならない、と指摘する(「Kapital.kz」7月8日)。

(ウラジミル・スタノフォフ)

(カザフスタン、米国)

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