グリーン観光開発を誘致へ、大阪・関西万博のラオスナショナルデー

(ラオス、日本)

ビエンチャン発

2025年07月24日

2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)のラオスナショナルデーが79日に開催された。EXPOナショナルデーホール「レイガーデン」では、「グリーン開発の目的地としてのラオス」をテーマに、投資・貿易・観光フォーラムが行われた。

このフォーラムでは、同国が推進するグリーン成長戦略や、持続可能な開発目標(SDGs)、包摂的かつ環境配慮型の成長に向けた取り組みが紹介された。ラオス文化観光省観光開発局のポーンマニー・インタポーン局長は、観光セクターの「持続的開発と投資機会」と題した講演で、ラオスがインドシナ半島の中心に位置し、連結性の改善と地域経済統合により、観光分野の投資機会が広がっている点を強調した。

写真 フォーラムの様子(ジェトロ撮影)

フォーラムの様子(ジェトロ撮影)

さらに、2025〜2035年の観光開発マスタープランを紹介し、持続可能性を最優先にしたマーケットデータに基づく観光地別の包括的な10年戦略を策定していると説明した。重点分野として、エコツーリズム、アドベンチャーツーリズム、カルチュラルツーリズム、ウェルネスツーリズムの開発に注力するとの方針を示した(注1)。主要な投資先として、(1)ラオス北部の世界遺産都市ルアンパバーン、(2)中部のバンビエン、(3)ナムグム貯水池、(4)南部のメコン川中州地域のシーパンドーンの4地域を挙げた。

ルアンパバーンでは、世界遺産に指定される保全コア域外の辺縁部での開発を推奨し、特にトレッキングやバイクトレイルの整備、環境配慮型施設の導入を挙げた。投資家に対しては、環境保護、文化保全、気候レジリエンス(注2)といった未来への責任を伴う投資の重要性を訴えた。

さらに、観光マーケティング局のプートーン・ダラーロム副局長は、観光客が減少する雨季(6〜9月)向けの新たな観光促進キャンペーン「オンリー・イン・ラオス」を紹介し、雨季ならではの魅力にも言及し、季節による偏りの是正を図る姿勢を示した。

ラオスの観光統計によると、2024年の外国人観光客は412万人(前年比20.6%増)、ラオス人国内観光客は390万人(前年比2.0倍)となった(2025年2月12日記事参照)。2025年第1四半期(1~3月)には、外国人観光客が126万人(前年同期比11.0%増)、ラオス人国内観光客が147万人(前年同期比2.0倍)と好調に推移している。

(注1)エコツーリズムとは、国立公園でのハイキングなど、自然環境を保護しながら体験する観光のこと。アドベンチャーツーリズムとは、トレッキングやロッククライミングなど、身体的な活動やスリルを伴う体験型観光のこと。カルチュラルツーリズムとは、歴史や伝統、芸術、文化など、文化的資源を体験する観光のこと。ウェルネスツーリズムとは、瞑想(めいそう)やスパなど、心身の健康や癒しを目的とした観光のこと。

(注2)気候レジリエンスとは、企業や社会などが気候変動による影響を予測して柔軟に対応し、被害を最小限にする能力のこと。

(山田健一郎)

(ラオス、日本)

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