米ロサンゼルスでアニメエキスポ開催、日本のポップカルチャーを多様なかたちで発信
(米国)
ロサンゼルス発
2025年07月08日
米国ロサンゼルス市で7月3~6日、「アニメエキスポ(AX)2025」が開催された。AXは1991年に、カリフォルニア大学バークレー校のアニメクラブメンバーによってスタートされた。その後、来場者数は2012年に5万人、2016年に10万人を超え、2024年には64カ国以上から40万7,000人が来場するなど年々規模を増している。主催者によると、経済効果は1億ドル以上と推計されており、北米最大のアニメ関連展示会となっている。
AXでは、アニメ、漫画、ゲーム、音楽など日本のポップカルチャーが幅広く扱われる。展示者による商品・サービスの紹介・販売に加えて、コスプレショーや著名ゲストによるパネルディスカッション、J-POPからJロック、アニソンまで日本のアーティストによるコンサートなどさまざまなイベントが行われ、ボードゲームやUFOキャッチャーなどの体験ブースやキャラクターとの写真撮影には行列ができていた。また、渋谷スクランブル交差点から着想を得た「AXクロッシング」では、約40のフードベンダーが日本食などを提供した。
ジェトロは、前年に続き「ギーク(注1)ストリート(Geek Street)」をテーマに、アニメ・マンガ・ゲーム・ファッション・VR(仮想現実)・音楽など日本企業12社が出展するパビリオンを設置し、日本の多様なポップカルチャーを発信した。パビリオンを訪れる日米の業界関係者は前年より増加しており、日本企業に対する関心の高まりがうかがえる。また、7月4日には「ジャパン・アニメ・ソーシャル」と題して、アニメやマンガ業界の関係者約100人を招待し、ネットワーキングイベントを開催した。ビジネス連携の具体的な機会を模索するディストリビューター、プラットフォーマー、ローカライザー(注2)、マーケティング会社などが多数参加し、海外展開を目指す日本企業との間で積極的な関係構築が行われた。
出展者からは、「売り上げの規模はまだ日本の方が大きいが、海外売上高の伸び率が圧倒的に高く、特に米国のマーケットは魅力的。特に最近はニッチ製品でも少しずつ拡大できている。AXは主に一般消費者向けのイベントではあるが、SNSに載せてもらうだけでも広告効果が高い」「当社は特定のキャラクターが有名だが、自社の知名度で買ってもらっているわけではない。大手と違ってIP(知的財産)コンテンツで稼げるわけではないため、今後はいかに自社のことを知ってもらって、購入につなげていけるかが課題」「(AXは)直接販売も可能であり、テストマーケティングの場としては最適である」といった声が聞かれた。
また、米国に商品を輸出している出展者からは、米国の関税政策について「現状、追加関税分を小売店に負担してもらっているが、注文数は減っている。今後さらなる追加関税があれば自社でも負担せざるをえない」「ベトナムとの関税交渉合意を受け、中国ではなくベトナムから輸出することも考えられるが、まだまだ不透明な状況であり様子を見ている」とのコメントがあった。
ジェトロ主催の「ギーク・ストリート」(ジェトロ撮影)
アニメエキスポ展示会場の様子(ジェトロ撮影)
著名なゲストによるパネルディスカッションの様子(ジェトロ撮影)
食エリア(AXクロッシング)の様子
(注1)特定の分野に熱中し、深い知識や技術を持つ人を指す言葉。
(注2)コンテンツを現地の言語に翻訳するだけでなく、文化、習慣、宗教などに適応させる専門家。
(柴原友範、堀永卓弘)
(米国)
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