英企業登記局、会社法変更の進捗状況発表、財務諸表の提出方法も変更へ

(英国)

ロンドン発

2025年07月08日

英国の企業登記局(カンパニーズ・ハウス)は6月16日、2023年経済犯罪と企業透明性法により変更となった会社法(2024年1月31日記事参照)の進捗レポートを公表したPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。二次立法とカンパニーズ・ハウスの改革の進捗状況、外国企業の登録と登記係の権限強化に係る最新情報についてまとめている。これまでに、誤情報また誤解を招くと判断される情報への照会や削除を約10万社に対して行い、マネーロンダリングとの関連性が指摘される特定の住所における複数企業の登録申請を約1万件却下したとしている。

同法による今後の変更として主なものは次のとおり(詳細は英国政府ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

  • 2027年4月1日以降、財務諸表の提出はソフトウエアを利用した提出に限定。ウェブ、紙での提出は廃止するほか、休眠会社も提出の対象に。なお、政府は、ソフトウエア検索用のウェブサイト外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを開設しているが、特定のものを推奨するものではないとしている。
  • 零細団体(マイクロ・エンティティ、注1)と小規模企業(スモール・カンパニー、注2)のファイリング方法も変更。現在は簡易版の貸借対照表が認められているが、2027年4月1日以降、マイクロ・エンティティは貸借対照表および損益計算書のコピー、スモール・カンパニーは貸借対照表、取締役報告書、監査報告書(免除される場合を除く)、損益計算書のコピーの提出が必要となる。なお、監査報告書免除の請求には、担当取締役による詳細な声明の提出が必要としている。
  • 取締役や重要な支配権を持つ人物(people with significant control、PSC)など法人の設立、経営、支配権を持つ人物の本人確認の義務化。2025年秋以降に導入する。なお、希望者は2025年4月から本人確認を実施できる(英国政府ウェブサイト参照外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

(注1)次の条件のうち2つ以上に該当する団体。

  • 売上高100万ポンド(約1億9,800万円、1ポンド=約198円)以下
  • 貸借対照表価額50万ポンド以下
  • 従業員数10人以下

(注2)次の条件のうち2つ以上に該当する企業。

  • 売上高1,500万ポンド以下
  • 貸借対照表価額750万ポンド以下
  • 従業員数50人以下

(野崎麻由美)

(英国)

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